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2019年7月

2019年7月25日 (木)

振り返ろう!ワークショップ&説明会!

八王子学生演劇祭2019

制作・広報担当の荻山です。

 

 

7月13日(土)、7月15日(月)に南大沢文化会館で行われた

八王子学生演劇祭のワークショップ&説明会について報告いたします!

 

 

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八王子学生演劇祭の詳細はこちら

 

 

1.団体参加について 

参加者で課題戯曲を読み、かなり白熱しました。

集まった学生や、演劇部の顧問の先生、さらにはスタッフの僕も参加して一緒に読んだのですが、某高校の先生がとても上手でした。

とても珍しい空間だったなと思います。

 

 

参加者の課題戯曲に対しての印象は、「おもしろい」という声が多く安心しました。

もちろん中には難解なものもあったのですが、それらも稽古を重ねていくともっともっとおもしろくなります。

そういった戯曲を選びました。

 

 

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また、このような質問をいただき、説明をしました。

Q.戯曲の改変(役・シーンのカット、男女の入れ替えなど)について

A.「ヒッキー・カンクーントルネード」以外は、改変が可能です。ただし、改変の内容に応じて、作者への相談が必要な場合があります。

 

Q.1つの団体で、複数の戯曲を上演しても良いか?

A.良いです。ただし、演出プランを作るのが難しくなると思います。

 

Q.いちょうホール(小ホール)の見学について

A.11月中を予定しています。各団体の都合と合わせながら日時を決めます。小ホールの見学と合わせて、作品の進み具合を教えてください。舞台を使って演じてみてもよいですし、スタッフワークのプランの相談も構いません。ディレクターやホールスタッフがアドバイスします。

 

Q.いちょうホール(小ホール)の舞台構造について、プロセニアム形式以外の使い方をしても良いか?

A.全出演団体とディレクターの中込、私で相談することになりますが、プロセニアム形式以外の使い方をしても良いです。いちょうホール(小ホール)のホームページを紹介します。こちらに他の形式の写真があります。

 

Q.異なる団体が同じ課題戯曲で応募してきた場合、どちらかの団体しか出演できないのか?

A.両団体とも出演できる可能性があります。あくまで、演出プランの内容で判断するので、上演する作品が偏ることもあります。

 

Q.課題戯曲、全部に挑むのか?

A.全部に挑むわけではありません。通常は1つを選んで、演出プランを書き、応募してもらう、という流れになります。

 

Q.エントリーシートの「代表者の氏名」、「担当者の氏名」は同じでも良いのか?

A.同じでも良いです。「代表者の氏名」は文字通り、その団体の代表者の氏名を記載してください。「担当者の氏名」は実際に事務連絡を行う方の氏名を記載してください。
 

  

 

2.個人参加について

10分間の準備時間で、「未来」をテーマにした1分間の一人芝居を即興でつくってもらう、というワークショップを行いました。

か・・・過酷・・・。しかし、参加者のみなさんは、それぞれ個性的な一人芝居をつくっていました。とてもおもしろかったです。

10分間。シーンと張り詰める時間。そしてそれぞれ発表をした後に、感想を言い合いました。結構、活発な意見交換ができました。

この感じが、今回の「一緒に創ろう!個人参加」のベースになっていくのだなと思いました。

 

10分間の準備で1分間の一人芝居をつくる。これは、かなり難しいです。

2時間の講演ならすぐにでもできるが、30分の話だとそうはいかない、3分間のスピーチなら一晩は準備にかかる

という、ある大統領の有名な言葉があるくらいです。これをやった意図についてディレクターで、個人参加の演出をする中込に聞くと、「短い準備、短い発表時間という難しいハードルを設定することで、自然と自分の得意な表現方法に頼る。そうすると、その人の得意がわかり、どういう人かが良く分かる。」とのこと。

え・・・演出家・・・さすがです・・・と、思いました。

 

 

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当日は、こんな質問・説明をしました。

  

Q.どのように作品をつくっていきますか?

A.10月からスタートし、中旬までは顔合わせ、基礎、ディスカッション。10月中旬からグループワークに入り、11月末からそれらを本番にむけてまとめていく。

  

Q.公開稽古があるとのことですが、いつ、何をしますか?

A.11月17日(日)を予定しています。稽古を公開しながら、外部の人に「100歳まで生きたらあなたはなにをしていますか?」という問いかけを行い、そこからヒントを得て、新たなシーンを創作します。

  

Q.どのような作品になりますか?

A.「未来」をテーマに、グループ毎にわかれて作品をつくり、それらを組み合わせて1つの劇をつくります。個人のシーン、全員が登場するシーンもつくる予定です。

  

Q.稽古には全て出席しないとだめですか?

A.できたら出席して欲しいですが、基本的には参加者のペースに合わせます。出席率が低いと、練習時間が短くなるので、出演シーンは短くなると思います。

 

Q.エントリーシートには、どのようなことを書けばよいか?

A.伝えたいことを書いて欲しい。特になぜ応募したか、のところを大切に書いてみてほしいです。

 

 

ほかにも不明なことがありましたら、ぜひ、担当までお問合せください。

 

主催・お問合せ:

(公財)八王子市学園都市文化ふれあい財団(042-621-3005)

メール:geishin78@hachiojibunka.or.jp(担当:荻山)

2019年7月12日 (金)

「一緒に創ろう!個人参加」Q&A その1

八王子学生演劇祭2019

制作・広報担当の荻山です。

 

 

八王子学生演劇祭2019の出演団体募集中です!

詳しくはこちら

 

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Q1.経歴って詳しく書いた方がいい?

 お任せします。簡単でもいいですし、たくさん書いてもいいです。自分を知ってもらう上でこれは必要だな、と思うことを書いてください。

 

 

Q2.オーディション内容は?

 その日の参加者と中込で、コミュニケーションをとりながら短い演劇創作をする予定です。

 

 

Q3.人見知りでも参加できますか?

  演劇をやってみたい、なにか表現してみたい、という人は、だいたい人見知りな気がします。人見知りというと、なんとなく悪いことのようなイメージがありますが、私はそうは思いません。人見知りということは、周りの人の目や、人の態度に敏感だということです。それは感受性が鋭いということです。大勢の人と一緒に創作をする演劇ではとても大切な個性です。私も人見知りです。特に大学頃まではひどかったです。だから、人見知りで困るなあという若い人たちの気持ちはよくわかります。ですので、そういう繊細な心を大事にする稽古場にしたいと思っています。



 

Q4.演出助手は何名まで?

 定員はもうけておりません。参加者全体のバランスをみながら決定します。

 

 

Q5.演出助手は何をするんですか?

 幅広く仕事があります。創作をしていくなかで、演出の手の回らないところをサポートしてもらいます。演出から出演者への指示、注意事項をメモするなどの細かな仕事から、創作における具体的な意見を求められる仕事まで、様々です。演出助手として参加する方のスキル、経験などから相談し、仕事内容を決めていきます。

 

今回の稽古場で想定される演出助手の役割:

・欠席者がいた場合の代役(基本的に欠席はNGなのですが、万が一病気などの時)
・チームごとに分かれて並行で稽古をした時の、外から見る人(演出一人では目が行き届かないため)
・演出や出演者の相談相手(様々な人の意見を取り入れながら創作したほうが良いものになる!)
・広報宣伝のとりまとめ(ダイレクトメールのひな型を作ったり、稽古場の写真を撮ってシェアしたり)

 

 

 

 

今回のQ&Aは以上です。

不明な点がありましたら、ぜひ、メールまたはお電話にてお問合せください。

 

 

担当  荻山

メール:geishin78@hachiojibunka.or.jp 

電 話:042-621-3005

 

 

 

八王子学生演劇祭2019の出演団体募集中です!

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八王子学生演劇祭2019とは

10代から20代半ばの若者が主体的、かつ、圧倒的に輝く舞台芸術創作を応援するため、2016年から毎年、八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて実施している。2018年は12月21日~23日の3日間、市内外で活動している7団体による公演を実施し、入場者数は600名を越えた。

2019年度からは総合ディレクターを起用。さらなる若者の演劇活動への支援、市民への演劇の普及を目的とし、「みんなで創る演劇祭」としてスタートした。

 

日時:2019年12月21日(土)、22日(日) 

場所:いちょうホール(小ホール)

 

twitter:@hachioji_engeki

課題戯曲の紹介! 第5回 東京都立八王子東高等学校演劇部「学割だからいいのよ」

八王子学生演劇祭2019

制作・広報担当の荻山です。

 

八王子学生演劇祭2019の出演団体募集中です!

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課題戯曲、全5作品を先日公表いたしました。

7/13、15の八王子学生演劇祭ワークショップ&説明会までに、僕も勉強をしておこう。

ということで全5作品の作者と作品内容について、全5回に分けて僕の感想も交えてご紹介いたします。

 

 

 

課題戯曲を実際に手に取るのは、なかなかハードルが高いなと思います。

そのハードルを越えてもらうためにこのブログでは、「1.作者について 」の章で、どういう作者が書いているのか、どういう人が翻訳しているか、を、インターネットで公開されていることを中心に、僕の主観を交えて紹介します。

 

逆に、「2.作品について 」の章では、物語がどのように始まり、どのような登場人物がどれくらい出てきて、どのようなことをするのか、そしてどのように終わるのかを、僕の主観や具体的な台詞のやりとりを、極力排除して紹介します。

排除した理由は、排除した部分をどんなにがんばって書いても、実際に戯曲上でおこなわれる台詞のやりとりのおもしろさには敵わないからです。

ここに書いてあるのは最低限のことです。なので読んでみてもし気になる戯曲がありましたら、ぜひ、戯曲を手にとってみてもらえると嬉しいです。ここに書いてあることよりも、もっともっと面白いです。

  

 

第5回は、東京都立八王子東高等学校演劇部の「学割だからいいのよ」です。

  

 

 

1.作者について

東京都立八王子東高等学校演劇部

  

 

この作品だけは、具体的な作者名はありません。

「学割だからいいのよ」という戯曲は、2007年に東京都立八王子東高等学校演劇部が、東京都高等学校文化祭演劇部門で全国大会まで勝ち進んだときの上演台本です。

当時の演劇部生徒たちにより一から創作されました。 

演劇祭ディレクターの中込が、OGとしてコーチをしていた縁で、今回、課題戯曲として紹介させていただけることになりました。

 

 

全国大会に行く。これは大変なことです。

だいたい2000弱くらいの団体がエントリーするのですが、2007年だとその中の12団体が全国大会に進めた、との記録があります。

その当時の八王子東高校の盛り上がりについて記載されたサイトを紹介いたします。

 

■全国高等学校総合文化祭体験記【報告】

http://www.hachihiga.org/pta/taiken/H18/taiken0602.html

 

 

 

 

 

2.作品について

「学割だからいいのよ」

 

細かなエピソードがとりとめなく連続していきます。

 

 

〇登場人物 ※戯曲より引用

A、B、C、D

 

〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です

① 登場人物:A、B

ランドセルを背負って、小学生帽をかぶった2人が会話をしている。

話題がくるくると入れ替わる。とりとめのない会話で時間をつぶしているような、そんな時間。

 

 

② 登場人物:A、B、C

Cが入ってくると、英語の授業が始まる。しかし、英語の授業は始まらない。AとBの会話は徐々に熱を帯びてくる。しかし会話の中身はあっちにいったりこっちにいったり、歌ったり、やはりとりとめがない。それを眺めているC。東大、合格、イエーイ。というセリフで、この場面は終わる。

 

 

③ 登場人物:C

Cの独白。どうやら誰かの進路指導をしているようだ。やがて自分のセンター試験の思い出を語り始める。大人が語る、大人の理不尽についての話。

 

 

④ 登場人物:A、B、C、D

A、B、Dが入ってきて、そこはセンター試験の会場となる。しかし、それはまるで軍隊のような有様。青春をしろ!というおたけびをあげる。その後、突如シーンが変わり、Aが文化祭でやるクラス劇の台本を書く人を募集する。誰も台本を書きたがらない。泣きだすA。そんななか、Cが台本を書くと名乗りをあげる。一同拍手。最初はがんばるA、B、Cだったが、やがてA、Bのクラス劇に対する興味は薄れていく。そしてAの発案でバンドを組む3人。歌う。そしてひとしきり歌ったのちに、Dの号令で再び受験に向かう。

 

 

⑤ 登場人物:A、B、C

掃除をしながらしりとりをしているA、B、C。単語だったしりとりが、やがて文章となり、物語となる。文化祭でパン泥棒の疑いをかけられた話。だったら卒業しません!小学生に戻ります。というセリフで、このシーンは終わる。

 

 

⑥ 登場人物:A、C

オセロをするA、C。Cが優勢のようだ。ある時、AがCに、「今、ズルをしただろう?」、と告げる。ズルはしていないというC。やがてその会話は、シェイクスピアの「オセロー」の一節になる。架空のナイフで自害するオセロー役のA。再びオセロ。Aが勝ったところでこのシーンが終わる。

 

 

⑦ 登場人物:D

Dがランドセルを背負って現れる。オセロをしたり、オセロを片付けたり、鉛筆を蹴ったり、ハチマキとメガネをランドセルにしまったりする。そして去る。

 

 

⑧ 登場人物:A、B、C

シェイクスピアの「オセロー」について語り合う2人。そこにBがやってきて、もう最終下校の時間であると告げる。学校に泊まろうと提案するA。しかしルールなので下校することになる。しまい忘れたオセロの1ピースが不思議と温かい。そしてBの手元で動き出す。Bはオセロの赴くままに文字を書く。黒白黒白…。

やがて中央に大きなランドセルが現れる。その中に入っていくA、B、C、D。

 

 

 

(終わり)

 

 

 

3.あとがき

 

いりみだれる直喩、暗喩、言葉遊び。

ぜひ、ダウンロード して全文読んでみてもらえると嬉しいです。

 

 

先日、「ゴドーを待ちながら」という作品を観ました。フランスの劇作家であり小説家、詩人であるサミュエル・ベケットの戯曲です。課題戯曲の「3人いる!」の作者である多田淳之介氏が演出をしていました。様々な人が様々な形で上演をしている名作の1つです。

 

以下、あらすじ(wikipediaより転載)

『ゴドーを待ちながら』は2幕劇。木が一本立つ田舎の一本道が舞台である。

第1幕ではウラディミールとエストラゴンという2人の浮浪者が、ゴドーという人物を待ち続けている。2人はゴドーに会ったことはなく、たわいもないゲームをしたり、滑稽で実りのない会話を交わし続ける。そこにポッツォと従者・ラッキーがやってくる。ラッキーは首にロープを付けられており、市場に売りに行く途中だとポッツォは言う。ラッキーはポッツォの命ずるまま踊ったりするが、「考えろ!」と命令されて突然、哲学的な演説を始める。ポッツォとラッキーが去った後、使者の少年がやってきて、今日は来ないが明日は来る、というゴドーの伝言を告げる。

第2幕においてもウラディミールとエストラゴンがゴドーを待っている。1幕と同様に、ポッツォとラッキーが来るが、ポッツォは盲目になっており、ラッキーは何もしゃべらない。2人が去った後に使者の少年がやってくる。ウラディミールとエストラゴンは自殺を試みるが失敗し、幕になる。

 

 

「ゴドーを待ちながら」に影響を受けた作品はたくさんあるといわれており、ゆえにそれを引き合いに出すのは若干照れ臭いのですが、「学割だからいいのよ」の登場人物たちの消費されていく時間は、ウラディミールとエストラゴンがゴドーを待っている間にしている会話に似ているなと思いました。会話のための会話。会話するということが楽しみであり、目的である会話。個人的であり、社会のことでもある会話。ゴドーだと登場人物は老人ですが、「学割だからいいのよ」は登場人物が10代なので、そこから響いてくるメッセージはまたちょっと違う気がします。

  

 

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八王子学生演劇祭2019とは

10代から20代半ばの若者が主体的、かつ、圧倒的に輝く舞台芸術創作を応援するため、2016年から毎年、八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて実施している。2018年は12月21日~23日の3日間、市内外で活動している7団体による公演を実施し、入場者数は600名を越えた。

2019年度からは総合ディレクターを起用。さらなる若者の演劇活動への支援、市民への演劇の普及を目的とし、「みんなで創る演劇祭」としてスタートした。

 

日時:2019年12月21日(土)、22日(日) 

場所:いちょうホール(小ホール)

 

twitter:@hachioji_engeki

2019年7月 8日 (月)

課題戯曲の紹介! 第4回 岩井秀人「ヒッキー・カンクーントルネード」 

八王子学生演劇祭2019

制作・広報担当の荻山です。

 

課題戯曲、全5作品を先日公表いたしました。

7/13、15の八王子学生演劇祭ワークショップ&説明会までに、僕も勉強をしておこう。

ということで全5作品の作者と作品内容について、全5回に分けて僕の感想も交えてご紹介いたします。

 

 

2019ver31p_20190708181601

 

 

課題戯曲を実際に手に取るのは、なかなかハードルが高いなと思います。

そのハードルを越えてもらうためにこのブログでは、「1.作者について 」の章で、どういう作者が書いているのか、どういう人が翻訳しているか、を、インターネットで公開されていることを中心に、僕の主観を交えて紹介します。

 

逆に、「2.作品について 」の章では、物語がどのように始まり、どのような登場人物がどれくらいでてきて、どんなことをするのか、そしてどのように終わるのかを、主観や、具体的な台詞のやりとりを、極力排除して紹介します。

排除した理由は、排除した部分をどんなにがんばって書いても、実際に戯曲上でおこなわれる台詞のやりとりのおもしろさには敵わないからです。

ここに書いてあるのは最低限のことです。なので読んでみてもし気になる戯曲がありましたら、ぜひ、戯曲を手にとってみてもらえると嬉しいです。ここに書いてあることよりも、もっともっと面白いです。

  

 

第4回は、岩井秀人氏の「ヒッキー・カンクーントルネード」です。

  

1.作者について

  

岩井秀人

  

〇岩井秀人主宰の劇団「ハイバイ」のホームページより

http://hi-bye.net/iwai

  

 

チェーホフの戯曲には「家」が存在し、「家族」が描かれる、と、「プロポーズ」の翻訳者である浦氏が本に書いていました。岩井秀人氏の戯曲も、家族についてかかれた作品が多い気がします。

  

  

 

  

2.作品について

  

今回紹介する「ヒッキー・カンクーントルネード」は、もともと岩井氏が所属している劇団「ハイバイ」の上演台本でした。これを高校生用に書き直したものです。

その経緯については、ぜひ下記のホームページを見てください。

http://hi-bye.net/2014/09/01/4224

  

カンクーントルネードとは、プロレスの技です。

ムーンサルト・プレスのようにコーナーポスト上段から後方1回宙返り2回捻りの要領で体固めに移行する技。技の手順はムーンサルトと同じだが伸身で1回宙返りを行いながら2回捻ることから、脚力と腕力に勢いが必要であり、難易度が高い、主な使い手にはウルティモ・ドラゴン、初代えべっさん(現:菊タロー)やハヤブサなど空中殺法が得意な選手が使用することが多い。(wikipediaより抜粋。)
 

  

 

〇登場人物 ※戯曲より引用

森田登美雄(以下、登美雄)

森田綾(以下、綾)

森田母(以下、母)

圭一

黒木香織(以下、黒木)

(声)郵便配達の男

 

 

 

〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です

 

1場

場所:公衆電話ボックス

登場人物 母

夫に公衆電話から電話をかけている。まだ携帯電話がそれほど普及していない時代の話。話の内容から、登美雄という息子の存在と、「出張お兄さん」という謎のフレーズが出てくる。

 

 

2場

場所:森田家のリビング

登場人物 登美雄、綾、母、郵便配達の男

プロレスごっこに興じる森田登美雄、森田綾。そこに呼び鈴がなる。郵便配達の男がやってきた。登美雄は綾にけしかけられながら、たどたどしくその対応をする。

ふたたび呼び鈴。登美雄は玄関に行くことができなかった。呼び鈴の主は母だった。帰って来た母に、さっきは登美雄が玄関まで行ったことを伝えるが、母はあまり信じていない様子。

部屋に帰る登美雄。それを追いかける綾。

 

 

3場

場所:出張お兄さん事務所

登場人物 圭一、母

母は「出張お兄さん」と名乗る圭一に、登美雄について何か相談をしたようだ。

饒舌な圭一に疑いのまなざしを向けながらも、母と圭一は、一緒に森田家に行くことにする。

 

 

4場

森田家のリビング

① 登場人物 登美雄、綾、圭一、母

彼氏ができたことを登美雄に告げる綾。それとは別に、登美雄はプロレスのビデオを友達に又貸しした綾に対して怒っている。やがて激昂する登美雄。綾は友達に電話をする。綾の楽しそうな笑い声。心を閉ざす登美雄。しかし、綾の友達がおわびにメキシコのプロレスラー「ルチャ・リブレ」のビデオを貸してくれるという話になり、登美雄は興奮し自室へ戻る。綾の携帯電話に、今度は彼氏から電話が。楽しく話す綾。

そこに、プロレスのコスチュームに着替えた登美雄が帰ってくる。気をつかう綾。

 

 

② 登場人物 登美雄、綾、圭一、母

母が「出張お兄さん」の圭一を連れて帰ってくる。部屋に逃げ去る登美雄。

圭一はそれを追って、登美雄の部屋へ入っていく。憤る綾。困惑する母。

やがて登美男の部屋から、2人の楽しそうな笑い声が聞こえる。

 

 

5場

場所:森田家のリビング

登場人物 登美雄、綾、圭一

すっかり仲良くなった登美雄と圭一。おそろいのプロレスマスクをかぶり、タッグチームを組んだと綾に伝える。圭一と付き合うよう綾にすすめる登美雄。その気になる圭一。突然のことに戸惑い、激昂する綾。気まずさからか、登美雄と圭一はプロレスをはじめる。立ち去る綾。

 

 

6場

場所:出張お兄さん事務所

登場人物 黒木、母

黒木は母に、圭一は「出張お兄さん」ではなく、過剰適応症(とびこもり)の患者、研究材料であることを伝える。圭一を連れ戻すと共に、登美雄の問題も解決するという黒木。関わり合いになりたくなさそうでありながら、押し切られる母。

 

 

7場

場所:森田家リビング

登場人物 登美雄、綾、圭一

登美雄と圭一は楽しくトレーニングをしている。そこに綾が帰ってくる。呼び鈴がなる。おびえる登美雄のかわりに圭一が対応するが、そこにいたのは黒木だった。

逃げようとするも黒木につかまった圭一は、登美雄に助けを求める。登美雄は、自分と圭一がタッグチームを組んだと説明するが、黒木は移籍金(百万ドル)を払わないと圭一を連れて行くと登美雄を追い詰める。圭一を連れて行かないでほしいと懇願する登美雄に、黒木は「百万ドルを払う代わりに、お買い物に行ってきて欲しい」と、提案する。

 

 

8場

場所:公衆電話ボックス

登場人物 母

夫と電話をしている母。「出張お兄さん」のことで大変なことになっていると伝えるが、夫は仕事が忙しいからと真剣にきいてくれない。憤る母。

 

 

9場

場所:森田家のリビング

① 登場人物 綾、圭一、母

買い物に行った登美雄を心配する綾と圭一。そこに母が帰ってくる。登美雄が自分の意思で買い物に行ったことに驚き、喜ぶ母。黒木はその後を追跡しているという。すぐに夫に連絡すべく公衆電話に向かうが、もう公衆電話に行かなくてもいい、と綾に告げられる。母は喜び、春巻きをつくることにする。

 

 

② 登場人物 綾、圭一、母、黒木、登美雄

登美雄が血だらけになって帰ってくる。声も出ない綾。申し訳ないと誤る黒木。出て行けと叫ぶ母。母は黒木にびんたをする。これは「買い物療法」だったと説明する黒木。そして、今日はワースト、これ以上悪くなることはない、明日も外に出るようにと、登美雄に強く語りかける。黒木を追い出そうとする母。部屋に居続けることの何が悪いのかを問いかける綾。やがて皆が去り、登美雄は1人うなだれている。

 

 

10場

場所:森田家のリビング

登場人物 登美雄、綾、母

母と綾はテーブルでテレビを眺めている。綾は黒木と電話をしている。登美雄はリビングに顔を出すが、すぐに部屋に戻ってしまった。綾は黒木から、登美雄が血だらけになって帰って来た日の顛末を聞く。それは悲しい話だった。しかし、母はリュックの中から出てきたコスチュームや大量のプロレス雑誌、そして、圭一に「お買い物」として頼まれたであろうエロマンガを見つけ、爆笑する。それをいさめる綾。綾は部屋へ戻る。母は机の上に、それらを並べ、しばしの沈黙の後に、去る。

 

 

② 登場人物 綾、母

登美雄がエロマンガを回収しにリビングに戻ってくる。エロマンガを開いて、ニヤニヤしている。そこに興奮した綾が飛び込んでくる。窓の外の公園に「みちのくプロレス」が来るという。驚く登美雄。綾は先に行っている、と伝え、その場を去る。

1人とりのこされた登美雄。外からは登美雄を誘う綾の声。玄関を見つめる登美雄。

ざわめきが大きくなる。

 

 

(終わり)

 

 

3.あとがき

 

僕はこの終わり方が、とても好きです。

最後、登美雄はどうなるだろう、みたいな議論はあると思いますし、色々な解釈があってよいなと思います。

でも僕は、きっと「みちのくプロレス」をもし観に行けなかったとしても、そう遠くないうちに、登美雄は外に出るだろうなと思います。

 

 

 

途中の会話も、なんとも笑ってしまうものが多いのですが、みんな切実です。切実ゆえに笑ってしまうのですが、出来事は悲しい。あれ、この感想、チェーホフの時にもあったような…。

登美雄はひきこもっており、家族は多かれ少なかれ登美雄のことを大切におもっています。

でも、自分のことをどうにかできるのは、最後の最後は自分だけだよな、と思います。

 

 

 

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八王子学生演劇祭2019とは

10代から20代半ばの若者が主体的、かつ、圧倒的に輝く舞台芸術創作を応援するため、2016年から毎年、八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて実施している。2018年は12月21日~23日の3日間、市内外で活動している7団体による公演を実施し、入場者数は600名を越えた。

2019年度からは総合ディレクターを起用。さらなる若者の演劇活動への支援、市民への演劇の普及を目的とし、「みんなで創る演劇祭」としてスタートした。

 

日時:2019年12月21日(土)、22日(日) 

場所:いちょうホール(小ホール)

 

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2019年7月 7日 (日)

課題戯曲の紹介! 第3回 シェイクスピア「夏の夜の夢」(翻訳:河合祥一郎)

八王子学生演劇祭2019
制作・広報担当の荻山です。

 

 

課題戯曲、全5作品を先日公表いたしました。

7/13、15の八王子学生演劇祭ワークショップ&説明会までに、僕も勉強をしておこう。

ということで全5作品の作者と作品内容について、全5回に分けて僕の感想も交えてご紹介いたします。

 

 

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課題戯曲を実際に手に取るのは、なかなかハードルが高いなと思います。

そのハードルを越えてもらうためにこのブログでは、「1.作者について 」の章で、どういう作者が書いているのか、どういう人が翻訳しているか、を、インターネットで公開されていることを中心に、僕の主観を交えて紹介します。

 

逆に、「2.作品について 」の章では、物語がどのように始まり、どのような登場人物がどれくらいでてきて、どんなことをするのか、そしてどのように終わるのかを、主観や、具体的な台詞のやりとりを、極力排除して紹介します。

排除した理由は、排除した部分をどんなにがんばって書いても、実際に戯曲上でおこなわれる台詞のやりとりのおもしろさには敵わないからです。

ここに書いてあるのは最低限のことです。なので読んでみてもし気になる戯曲がありましたら、ぜひ、戯曲を手にとってみてもらえると嬉しいです。ここに書いてあることよりも、もっともっと面白いです。

 

 


第3回は、シェイクスピアの「夏の夜の夢」です。

 

 

 

  

1.作者について

ウィリアム・シェイクスピア

 

〇wikipedia

ウィリアム・シェイクスピア

https://ja.wikipedia.org/wiki/シェイクスピア

 
俳優でもあったのですね。知りませんでした。演劇で生活をしていく、パトロンを得て、国王に愛されるなど、経営者としても優秀だったのでしょうか。なかなかスキャンダラスな生活を送っていたのかな。と同時に、別人説があるなど、謎に包まれた部分も多い人なのだなと思いました。Wikipediaには、これの10倍くらい情報があるので、興味がある方はぜひ…。

いろいろな面白くて奇妙なエピソードがいっぱいあるので、ぜひ調べてみてください。

 

 

作品一覧(wikipediaより転載、年代順に並べかえました)

 

1589年 - 1590年 ヘンリー六世 第1部(Henry VI, Part 1) (史劇)
1590年 - 1591年 ヘンリー六世 第2部(Henry VI, Part 2) (史劇)
1590年 - 1591年 ヘンリー六世 第3部(Henry VI, Part 3) (史劇)
1592年 - 1593年 リチャード三世(Richard III) (史劇)
1592年 - 1594年 間違いの喜劇(Comedy of Errors) (喜劇)
1593年 - 1994年 タイタス・アンドロニカス(Titus Andronicus) (悲劇)
1593年 - 1594年 じゃじゃ馬ならし(Taming of the Shrew) (喜劇)
1594年 ヴェローナの二紳士(The Two Gentlemen of Verona) (喜劇)
1594年 - 1595年 恋の骨折り損( Love's Labour's Lost) (喜劇)
1594年 - 1596年 ジョン王(King John) (史劇)
1595年 - 1996年 ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet) (悲劇)
1595年 リチャード二世(Richard II) (史劇)
1595年 - 1996年 夏の夜の夢(A Midsummer Night's Dream) (喜劇)
1596年 - 1597年 ヘンリー四世 第1部(Henry IV , Part 1) (史劇)
1596年 - 1597年 ヴェニスの商人(The Merchant of Venice) (喜劇)
1597年 ウィンザーの陽気な女房たち(The Merry Wives of Windsor) (喜劇)
1598年 ヘンリー四世 第2部(Henry IV, Part 2) (史劇)
1598年 - 1599年 空騒ぎ(Much Ado About Nothing) (喜劇)
1599年 ヘンリー五世(Henry V) (史劇)
1599年 ジュリアス・シーザー(Julius Caesar) (悲劇)
1599年 お気に召すまま(As You Like It) (喜劇)
1600年 - 1601年 ハムレット(Hamlet) (悲劇)
1601年 - 1602年 トロイラスとクレシダ(Troilus and Cressida) (悲劇)
1601年 - 1602年 十二夜(Twelfth Night, or What You Will) (喜劇)
1602年 - 1603年 終わりよければ全てよし(All's Well That Ends Well) (喜劇)
1604年 オセロー(Othello) (悲劇)
1604年 尺には尺を(Measure for Measure) (喜劇)
1605年 リア王(King Lear) (悲劇)
1606年 マクベス(Macbeth) (悲劇)
1606年 - 1607年 アントニーとクレオパトラ(Antony and Cleopatra) (悲劇)
1607年 - 1608年 コリオレイナス(Coriolanus) (悲劇)
1607年 - 1608年 アテネのタイモン(Timon of Athens) (悲劇)
1607年 - 1608年 ペリクリーズ(Pericles, Prince of Tyre) (喜劇)
1609年 - 1610年 シンベリン(Cymbeline) (喜劇)
1610年 - 1611年 冬物語(The Winter's Tale) (喜劇)
1611年 テンペスト(The Tempest) (喜劇)
1612年 - 1613年 ヘンリー八世(Henry VIII) (史劇)
1613年 二人のいとこの貴公子(The Two Noble Kinsmen) (喜劇)

 

中身は知らなくてもタイトルは聞いたことある作品ばかり。

チェーホフ同様、後世に与えた影響ははかりしれないものがあります。

 

 

翻訳

河合祥一郎(かわい しょういちろう)

〇researchmap

河合祥一郎

https://researchmap.jp/read0184890/

 

〇河合祥一郎氏のブログ

https://ameblo.jp/shoichiro-kawai/

 

   

  

 

 

誰が翻訳したか、というのはとても大切だと思います。

何故ならば、翻訳によって作品の印象はかなり変わるからです。

時代に合わせた伝わりやすい言葉になっています。ですので、翻訳者についてもぜひ、みなさんに知ってほしいです。

 

 

課題戯曲として紹介をさせてもらうにあたり、河合祥一郎氏に初めてメールしたのですが、戯曲の使用についてすぐに快諾してくれました。なんともありがたい話です。今回、同氏が2013年に刊行している「新訳 夏の夜の夢」を使わせていただいているのですが、読むと分かるのが、ものすごい注釈の数。「原文はこうでした。」「最近はこのような解釈もあります。」など、とても原作を大切にし、公平に書かれているなと感じました。

 
翻訳という作業が、どれほど深い考察のもとに行われているかが分かります。そんな同氏があとがきで翻訳にあたり注意した、というのが、「韻を踏むこと。」原作の恋人たちの会話は、英雄詩体という2行毎のセリフで表現されているそうです。そこをすべて日本語で表現した。とのことでした。
やりとりがとてもロマンティックで、ユーモラスで、お祭り、ああ、それはまさに夏の夜の夢。おもしろい作品だなと改めて思いました。

 

 

 

2.作品について ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です

 

「夏の夜の夢」

 
とにかく色々な人が、色々な恋をします。
ので、「今の恋の状態」を整理しながら読んでみました。
その章で初めて観客に公表された恋には「New!」、恋をする相手が変わった場合には「Update!」の文字を、先頭につけています。

 

 

〇登場人物 ※戯曲より引用
テーセウス:アテネ侯爵
ヒポリュテ:侯爵(テーセウス)と婚約したアマゾン国女王
フィロストレート:侯爵(テーセウス)の宮廷祝典長
イジーアス:アテネの貴族
ハーミア:その(イジーアスの)娘、ライサンダーの恋人
ヘレナ:ハーミアの幼馴染。ディミートリアスに恋する娘。
ライサンダー:ハーミアの恋人。
ディミートリアス:ヘレナの元恋人だが、イジーアスに気に入られてハーミアの婚約者となった青年。

 

侯爵およびヒポリュテに仕える者たち

ピーター・クインス:大工、前口上役
ニック・ボトム:機屋、ピュラモス約
フランシス・フルート:ふいご直し、ティスベ役
トム・スナウト:鋳掛け屋、ほり役
ロビン・スターヴリング:仕立て屋、月光役
スナッグ:指物師、ライオン役

 

オーベロン:妖精の王
ティターニア:妖精の王妃
パック、またはロビン・グッドフェロー:オーベロンの手下のいたずら妖精
豆の花、蜘蛛の巣、蛾、茄子の種ほか妖精たち。

 

 

 

 
〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です

第1幕、第1場

 

① 登場人物:テーセウス、ヒポリュテ、(フィロストレート)、イジーアス、ハーミア、ライサンダー、ディミートリアス

 

婚姻の時が迫るテーセウスとヒポリュテは、フォロストレートにアテネの街をもりあげてこいと命ずる。そこにイジーアスが、ハーミア、ライサンダー、ディミートリアスを連れて現れる。イジーアスは、ハーミアの許嫁にディミートリアスを指名したのに、ライサンダーに夢中で困っている、とテーセウスに相談する。テーセウスはハーミアを説得するが、ディミートリアスと結婚するくらいなら死ぬ、とまったく聞く耳をもたない。そして、ハーミアとライサンダーは、その夜、駆け落ちをすることを約束する。

 

 

今の恋の状態:
New! ハーミア→ライサンダー(両思い)
New! ライサンダー→ハーミア(両思い)
New! ディミートリアス→ハーミア(片思い)

 

 

②  登場人物:ハーミア、ヘレナ
ディミートリアスが好きなヘレナ。ハーミアは、自分とライサンダーの駆け落ちの計画を伝え、安心してディミートリアスと幸せになってと伝える。しかしヘレナは、その駆け落ちの計画を、ディミートリアスに伝えようと考える。複雑な女心。

 

 

今の恋の状態:
New! ヘレナ→ディミートリアス(片思い)
ハーミア→ライサンダー(両思い)
ライサンダー→ハーミア(両思い)
ディミートリアス→ハーミア(片思い)

 

 

 
第1幕、第2場

 
① 登場人物:クインス、スナッグ、ボトム、フルート、スナウト、スターヴリング
侯爵、テーセウスの結婚の儀にむけて、「世にも悲しき喜劇、ピュラモスとティスベの残酷なる死」というお芝居を作ろうとしている面々。夜までにセリフを覚え、その夜、月あかりの下で稽古をしようと約束して別れる。

 

 

 
第2幕、第1場

 
① 登場人物:パック、オーベロン、ティターニア、妖精たち

 
一方、妖精の世界では、妖精の女王ティターニアがインドから連れてきた若い男に夢中。
妖精の王オーベロンとは夫婦喧嘩のまっ最中。そんな中、オーベロンはいたずら妖精のパックに、「恋の三色菫」をとってこいと命じる。その花の汁を眠っている人のまぶたに塗ると、次に目を覚ました時に初めて見た人を好きになってしまう、というとんでもないその花。オーベロンは、花の汁をティターニアのまぶたに塗ろうと考えたのである。

  

 

今の恋の状態:
New! ティターニア→インドの若い男(両思い?)
New! オーベロン→ティターニア(?)
ヘレナ→ディミートリアス(片思い)
ハーミア→ライサンダー(両思い)
ライサンダー→ハーミア(両思い)
ディミートリアス→ハーミア(片思い)

 

 


② 登場人物:ディミートリアス、ヘレナ
ライサンダーとハーミアを探しに来た、ディミートリアス、ヘレナ。ヘレナはディミートリアスに愛の告白をするも、ハーミアに夢中なディミートリアスに否定されてしまう。それをみたオーベロンは、ディミートリアスがヘレナを愛するよう、妖精のパックに「恋の三色菫」の花の汁を、ディミートリアスのまぶたにぬるよう命じる。

 

 
第2幕、第2場

 
① 登場人物:オーベロン、ティターニア、妖精たち、ライサンダー、ハーミア、パック

 
妖精たちの歌と踊りに包まれながら、眠りにつくティターニア。オーベロンはこっそりとそのまぶたに、「恋の三色菫」の花の汁を塗る。化け物に惚れろと願いをかけて。
そこに道に迷ったライサンダー、ハーミアが現れ、疲れた2人はそこで野宿、眠りにつく。結婚前のため、少し離れて寝る2人。そこに通りかかったパックは、「恋の三色菫」の花の汁をライサンダーに(本当はディミートリアスに塗らなければならないのに)塗ってその場を去る。

 

 

② 登場人物:ディミートリアス、ヘレナ、ライサンダー
ライサンダー、ハーミアが寝ているところに、ディミートリアス、ヘレナがやってくる。2人はそれに気が付いていない。ハーミアがみ見つからないことにいらだつディミートリアスは、ヘレナを置いてどこかへ行ってしまう。1人取り残されるヘレナ。寝ているライサンダーを見つけ、起こす。そして目を覚ましたライサンダーは、「恋の三色菫」の花の汁の力でヘレナに激惚れし、ヘレナを口説き始める。馬鹿にされていると感じて傷つくヘレナはその場から逃げ去る。ライサンダーは、やがてハーミアも目を覚ましたハーミアに、ひどいことを言ってヘレナを追いかけ去る。1人、おいてけぼりになるハーミア。

 

 

今の恋の状態:
Update! ライサンダー→ヘレナ(片想い)
Update! ヘレナ→人間不信
Update! ハーミア→ライサンダー(片思い)
ディミートリアス→ハーミア(片思い)
ティターニア→インドの若い男(両思い?)
オーベロン→ティターニア(?)

 

 

 

第3幕、第1場

 
① 登場人物:クインス、スナッグ、ボトム、フルート、スナウト、スターヴリング、ティターニア、パック

 
森の中。妖精の女王ティターニアの寝室のそば。それに気が付かず「世にも悲しき喜劇、ピュラモスとティスベの残酷なる死」の稽古をする職人たち。そこにロバの頭をつけた化け物(パックのいたずらで、ボトムが変化している)が登場し、散り散りに逃げる職人たち。1人のこるロバの頭をつけたボトム。その騒ぎで「恋の三色菫」の花の汁をつけられたティターニアが目覚め、ボトムに一目ぼれする。妖精たちにものすごい接待をうけるボトム。

 

 

今の恋の状態:
Update! ティターニア→ボトム(一目ぼれ)
ライサンダー→ヘレナ(片思い)
ディミートリアス→ハーミア(片思い)
ヘレナ→人間不信
ハーミア→ライサンダー(片思い)
オーベロン→ティターニア(?)

 

 

第3幕、第2場

 
① 登場人物:オーベロン、パック、ディミートリアス、ハーミア

 
ティターニアが化け物(ボトム)に一目ぼれしたと報告を受け、喜ぶ妖精の王オーベロン。そこに通りかかるディミートリアスとハーミア。傷心のハーミアに、ディミートリアスは優しい言葉をかけるが、怒って立ち去ってしまった。眠るディミートリアス。第2幕、第2場の、パックの痛恨のミスを責めるオーベロン。今度はディミートリアスが、ヘレナを好きになるようパックに命じる。ディミートリアスはまぶたに、「恋の三色菫」の花の汁を塗られる。

 

 

② 登場人物:オーベロン、パック、ディミートリアス、ライサンダー、ヘレナ、ハーミア
ライサンダー、ディミートリアスの2人に求愛されるヘレナ。馬鹿にされていると感じさらに傷つくヘレナ。そこにやってくるハーミア。ハーミアを拒否するライサンダー。ハーミアもグルだとわめくヘレナ。そしてヘレナをかけて、ライサンダーとディミートリアスは決闘を始め、ヘレナとハーミアも罵り合い、混沌。オーベロンにものすごく怒られるパック。

 

 

今の恋の状態:
Update! ディミートリアス→ヘレナ(両思い?)
ライサンダー→ヘレナ(片思い)
ヘレナ→人間不信
ハーミア→ライサンダー(片思い)
オーベロン→ティターニア(?)
ティターニア→ボトム(一目ぼれ)

 

 

③ 登場人物:パック、ディミートリアス、ライサンダー、ヘレナ、ハーミア

 
パックの巧みな誘導により、1か所に集められ、眠るディミートリアス、ライサンダー、ヘレナ、ハーミア。

 

 

 
第4幕、第1場

 
① 登場人物:ボトム、ティターニア、オーベロン、パック、妖精たち

 
仲睦まじいティターニアとロバの顔をしたボトム。それをみたオーベロンは満足し、ティターニアにかかっている「恋の三色菫」の魔法を解く(ここでティターニアのまぶたに「恋の三色菫」の花の汁をぬる、という翻訳が現代版には多いとのこと)。オーベロンへの愛情を取り戻し、ボトムを捨てるティターニア。何がなんやらわからぬといった有様。

 

 

今の恋の状態:
Update! オーベロン→ティターニア(両思い)
Update! ティターニア→オーベロン(両思い)
ライサンダー→ヘレナ(片思い)
ディミートリアス→ヘレナ(両思い?)
ヘレナ→人間不信
ハーミア→ライサンダー(片思い)

 

 

  

② 登場人物:テーセウス、ヒポリュテ、イジーアス、ディミートリアス、ライサンダー、ヘレナ、ハーミア
行方をくらませたディミートリアス、ライサンダー、ヘレナ、ハーミアを探しに来た、テーセウス、ヒポリュテ、イジーアス。寝ている4人を森の中で見つける。ぼんやりと目を覚ます4人。ライサンダーはハーミアを愛し、ディミートリアスはヘレナを愛している。すぐにでもこの4人を結婚させようというテーセウス。みな、アテネへ帰っていく。

 

 

今の恋の状態:
Update! ライサンダー→ハーミア(両思い)
Update! ディミートリアス→ヘレナ(両思い)
Update! ヘレナ→ディミートリアス(両思い)
Update! ハーミア→ライサンダー(両思い)
オーベロン→ティターニア(両思い)
ティターニア→オーベロン(両思い)

 

 

③ 登場人物:ボトム
目覚めたボトム。あれは夢だったのかな、すごい夢だったな、みたいなことを言いながら、アテネへと帰る。

 

 

 
第4幕、第2場

 
① 登場人物:クインス、スナッグ、ボトム、フルート、スナウト、スターヴリング
ボトムを探す職人たち。そこにボトムが帰ってくる。芝居の準備を始める。

 

 

 
第5幕、第1場

 
① 登場人物:テーセウス、ヒポリュテ、イジーアス、フィロストレート、ディミートリアス、ライサンダー、ヘレナ、ハーミア、クインス、スナッグ、ボトム、フルート、スナウト、スターヴリング

 
ディミートリアス、ライサンダー、ヘレナ、ハーミアから、夜の森で起こったできごとを聞いたテーセウス、ヒポリュテ、イジーアス。不思議だなと思いつつも、めでたいね。という話になる。そして職人たちのつくりあげた、はちゃめちゃなお芝居をみんなで楽しむ。

 

 

② 登場人物:オーベロン、ティターニア、パック
愛し合うオーベロンとティターニア。よろこぶ妖精たち。パックの「影にすぎない我らの舞台、…」からはじまる有名なセリフで幕がおりる。

(終わり)

 

 

 

 

 

当初の状態:
ライサンダー→ハーミア(両想い)
ディミートリアス→ハーミア(片思い)
ヘレナ→ディミートリアス(片思い)
ハーミア→ライサンダー(両想い)
ティターニア→インドの若い男(両想い?)
オーベロン→ティターニア(片思い)

 

 

 
最終結果:
ライサンダー→ハーミア(両想い)
ディミートリアス→ヘレナ(両想い)
ヘレナ→ディミートリアス(両想い)
ハーミア→ライサンダー(両想い)
オーベロン→ティターニア(両想い)
ティターニア→オーベロン(両想い)

 

 

 

 

3.あとがき

  

オーベロンとティターニアは夫婦仲が戻ってよかったなと思うのですが、4人の恋人たちのうち、ディミートリアスだけはついに「恋の三色菫」の魔法が解けないまま終わるのです。しかし、それはそれで幸せなことだと、僕は思います。

 

 

それにしても大作でした。ここまでで6時間くらいかかりました。
ああしかし、みんな恋にうかれすぎだ。と、思いました。

最後、職人たちがつくったはちゃめちゃなお芝居をみて、みんなで楽しむ、という終わり方がとても好きです。

 

 

シェイクスピアの夏の夜の夢というと、僕の世代だと漫画、ガラスの仮面で主人公の北島マヤさんが妖精パックを演じてましたよね。

様々な方向から飛んでくるボールを避けることで、パックの動きを習得する、というエピソードはかなりのインパクトでした。

 

 

冬の演劇祭なのに、夏の作品です。でも祝祭的な作品で、知っている人も多いので、きっと盛り上がると思います。

 

 

 

八王子学生演劇祭2019の出演団体募集中です!

詳しくはこちら

 

 
八王子学生演劇祭2019とは

10代から20代半ばの若者が主体的、かつ、圧倒的に輝く舞台芸術創作を応援するため、2016年から毎年、八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて実施している。2018年は12月21日~23日の3日間、市内外で活動している7団体による公演を実施し、入場者数は600名を越えた。

2019年度からは総合ディレクターを起用。さらなる若者の演劇活動への支援、市民への演劇の普及を目的とし、「みんなで創る演劇祭」としてスタートした。

 

日時:2019年12月21日(土)、22日(日) 

場所:いちょうホール(小ホール)

 

twitter:@hachioji_engeki

2019年7月 5日 (金)

課題戯曲の紹介! 第2回 多田淳之介「3人いる!」

八王子学生演劇祭2019

制作・広報担当の荻山です。

 

 

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課題戯曲、全5作品を先日公表いたしました。

7/13、15の八王子学生演劇祭ワークショップ&説明会までに、僕も勉強をしておこう。

ということで全5作品の作者と作品内容について、全5回に分けて僕の感想も交えてご紹介いたします。

 

 

課題戯曲を実際に手に取るのは、なかなかハードルが高いなと思います。

そのハードルを越えてもらうためにこのブログでは、「1.作者について 」の章で、どういう作者が書いているのか、どういう人が翻訳しているか、を、インターネットで公開されていることを中心に、僕の主観を交えて紹介します。

 

逆に、「2.作品について 」の章では、物語がどのように始まり、どのような登場人物がどれくらいでてきて、どんなことをするのか、そしてどのように終わるのかを、主観や、具体的な台詞のやりとりを、極力排除して紹介します。

排除した理由は、排除した部分をどんなにがんばって書いても、実際に戯曲上でおこなわれる台詞のやりとりのおもしろさには敵わないからです。

ここに書いてあるのは最低限のことです。なので読んでみてもし気になる戯曲がありましたら、ぜひ、戯曲を手にとってみてもらえると嬉しいです。ここに書いてあることよりも、もっともっと面白いです。

  

 

第2回は、多田淳之介氏の「3人いる!」です。

 

  

  

 

1.作者について

  

多田淳之介

  

〇文化庁ホームページ「多田淳之介」

https://culturalenvoy.jp/envoys/envoy_eastasia/h2611.html

 

 

〇多田淳之介氏主宰の「東京デスロック」ホームページ

http://deathlock.specters.net/

 

  

 

八王子市でも過去に何度も演劇ワークショップを行っています。

今、とても勢いのある演出家です。実験的な作品も多いですが、戯曲の本質、演劇であること、その場にいる人たち、それが社会にどのように伝わるかについて、とても真摯な方だな、という印象です。

  

 

 

 

 

2.作品について

  

2017Verとなります。3人の登場人物を3人の俳優が演じますが、3人の俳優は、3つの役を入れ替わりながら演じます。

ややこしいので3人の俳優を、A(女性)、B(女性)、C(男性)と便宜上呼ぶことにし、各パートの最後にどの役を誰が演じているかを書きます。

また、場所もメインとなる空間を、便宜上記載しますが、空間の境を越えるようなト書きがあります。

  

 

〇登場人物 ※戯曲より引用

本田 りえ

中島 貴子

北見 篤人

 

 

〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です

場所:本田りえの部屋

 

(1) 登場人物:本田(1・2)

本田(本田1)が部屋でスマホをいじっていると、そこにもう一人、本田(本田2)を名乗る女性が現れる。互いに自分が本物だと主張し、互いを不審者だと訴える。そのうち、2人は同じ記憶をもっていることが分かる。友人の中島から「今日、本田っぽい人を渋谷で見た」というLINEが来ており、中島に電話することにする。

本田1:A

本田2:B、途中からC

  

  

(2) 登場人物:本田(1・2)

中島に電話をする本田2、中島と話したがる本田1

本田1:B、C

本田2:A

 

 

(3) 登場人物:本田(1・2)

中島と電話で話す本田1、渋谷で見かけた人の髪型について中島に聞くが、「ちょうど本田くらいの髪型だった」といわれる。

本田1:B

本田2:A、C

 

 

(4) 登場人物:本田(1・2)

中島と電話で話しをする本田2、再び髪型のことを聞くが、会話がかみ合わない。

本田1:B

本田2:A、C

  

  

(5) 登場人物:本田(1・2)

中島と電話で話しをする本田1、スピーカー通話をすることにする。

本田1:A

本田2:B、C

 

 

(6) 登場人物:本田(1・2)、中島

本田にすごく似ていたことを主張する中島。どこまでもかみ合わない2人(3人)の会話。本田は中島を家に誘うが断られ、結局、中島の家に押しかけることにする。

本田1:C

本田2:B

中島:A

 

 

場所:中島貴子の部屋

(7) 登場人物:中島(1・2)

本田からの電話を切り、くつろいでいた中島(中島2)。そこに中島(中島1)がやってくる。互いに自分が本物だと主張し、互いを不審者だと訴える。そのうち、2人は同じ記憶をもっていることが分かる。かみ合わない会話。

中島1:B

中島2:A

 

 

(8) 登場人物:中島(1・2)、本田

本田がやってくる。中島1、2は本田に、自分がどのようにみえているかを尋ねる。

本田も中島に、自分がどのように見えるかたずねる。中島には本田が1人、本田には中島が1人いるように見える。でも、本田も中島も、自分を含めて3人がこの空間にいることを主張し、意見が一致する。が会話はかみ合わない。

中島1:B

中島2:A

本田1、2:C

 

 

(9) 登場人物:中島、本田

中島は自分と、もう1人の自分を指差すが、本田からみると、自分を2回指さしているだけである。

中島:A

本田:B、C

  

  

(10) 登場人物:中島、本田

中島は自分と、もう1人の自分を指差すが、本田からみると、自分を2回指さしているだけである。

中島:A

本田:B、C

  

  

(11) 登場人物:中島、本田

本田は自分と、もう1人の自分を指差すが、中島からみると、自分を2回指さしているだけである。

中島:A、C

本田:B

  

  

(12) 登場人物:中島、本田

なんとなく状況を理解し始める中島。

中島:C

本田:A、B

 

 

(13) 登場人物:中島、本田

なんとなく状況を理解し始める本田。

中島:A、C

本田:B

 

 

(14) 登場人物:中島、本田

自分がずっと独り言を話しているのかもしれないと感じ、恥ずかしがる中島。舞台上では俳優Bが1人で、2人の中島を演じている。置いてけぼりの本田。

中島:B

本田:A、C

  

  

(15) 登場人物:中島、本田

今この場に、中島が2人、本田が2人いることを理解する中島。置いてけぼりの本田。

中島:A、B

本田:C

  

  

(16) 登場人物:中島、本田

中島は、自分で、もう一人の中島を叩く。本田からは中島が、自分で自分を叩いているようにみえる。

中島:C

本田:A、B

 

  

(17) 登場人物:中島、本田

もう一度中島は、自分で、もう一人の中島を叩く。本田からは中島が、自分で自分を叩いているようにみえる。(16)時点から、演じる俳優が変わっている。以降、そのパターンが続く。

中島:A、C

本田:B

 

 

(18) 登場人物:中島、本田

もう一度中島は、自分で、もう一人の中島を叩く。本田からは中島が、自分で自分を叩いているようにみえる。

中島:C

本田:A、B

 

 

(19) 登場人物:中島、本田

もう一度中島は、自分で、もう一人の中島を叩く。本田からは中島が、自分で自分を叩いているようにみえる。

中島:B

本田:A、C

  

  

(20) 登場人物:中島、本田

もう一度中島は、自分で、もう一人の中島を叩く。本田からは中島が、自分で自分を叩いているようにみえる。

中島:A

本田:B、C

 

 

(21) 登場人物:中島、本田

もう一度中島は、自分で、もう一人の中島を叩く。本田は、中島が自分をからかっているのではないかと感じはじめる。

中島:A、B

本田:C

 

 

(22) 登場人物:中島、本田

中島は本田に、「からかってなんかない」と伝える。もはや誰に何を話しているのか分からなくなってくる。直前まで中島を疑っていた俳優は中島になり、疑われていた中島は本田になっているからである。

中島:B、C

本田:A

 

 

(23) 登場人物:中島、本田

鏡を見てみることを思いつく2人。鏡をみる。中島にも本田にも、自分は2人いるように見えている。

中島:B

本田:A、C

 

 

(24) 登場人物:中島、本田

本田には中島が、中島には本田が1人しかいないように見えている。状況は変わらない。

中島:A、B

本田:C

 

 

(25) 登場人物:中島、本田

お互いを指差しあう中島と本田。指を差しながら、俳優も激しく入れ替わる、結果、みんなは本田がCである、と説明することになる。

中島:B→(A、B)→A→(A、B)

本田:(A、C)→C→(B、C)→C

 

 

(26) 登場人物:中島、本田

混乱する中島、本田。お互いを信用できないと言い合いになる。中島も本田も、その大半は独り言をいっているように観客からは見える。が、中島はもう1人の中島と、本田はもう1人の本田と会話している。家に帰るという本田のうちの1人。

中島:C

本田:A、B

 

 

(27) 登場人物:中島、本田

本田のうちの1人がでていくと、本田はどうなるのか。中島からはどう見えるのか。

中島:A、C

本田:B

 

 

(28) 登場人物:中島、本田

本田はもう1人の本田に、出て行けとあおる。出て行くもう1人の本田。

舞台上には中島が1人、本田が1人残る。やがて戻ってくる本田。観客にはそのことが分かるが、中島にはそれが分からない。

中島:A

本田:B、C

 

 

(29) 登場人物:中島、本田

また本田が外に出て行く。今度は中島が2人残る。しばらくして本田が戻ってくる。観客にはそのことがわかるが、中島にはそれがわからない。

中島:A、B

本田:C

 

 

(30) 登場人物:中島、本田、北見

今度は中島が出て行く、そんな話をしていたときに、北見が現れる。

北見は本田の元カレ、今は中島とつきあっている。ざわつく本田たち、島田たち。

本田たち、島田たちは北見に状況を説明するが、どうやら北見も、もう1人の北見を連れてきたらしい。

中島ともう1人の中島:A

本田ともう1人の本田:B

北見ともう1人の北見:C

 

 

(31) 登場人物:中島、本田、北見

複雑な中島、本田、北見の関係。気まずい会話。そのうち口論が始まるが、俳優が激しく入れ替わるため、観客からは誰が誰に話しかけているのか分からない。

やがて本田のうちの1人(俳優B)が部屋を出て行く。

中島ともう1人の中島、本田ともう1人の本田、北見ともう1人の北見:A、B、C

 

 

(32) 登場人物:中島、本田、北見

幾つかの会話の後、北見のうちの1人(俳優C)が部屋を出て行く。

中島ともう1人の中島、本田、北見ともう1人の北見:A、C

 

 

(33) 登場人物:中島、本田、北見

幾つかの会話(俳優Aが1人でしゃべっている)の後、中島のうちの1人(俳優A)が部屋を出て行く。舞台上には誰もいなくなるが、中島と本田と北見がそれぞれ1人残っている。

中島ともう1人の中島、本田、北見:A

 

 

 

3.あとがき

 

がんばって書き出しましたが、はたして僕の理解はあっているのか。

それくらい激しく役が入れ替わり、観客からの見え方も変わります。

 

 

最初は本田1人を3人で演じ、次は本田と島田の2人を3人で演じ、北見が現れると3人を、やっと3人で演じます。

でもそこには6人の人間がいて、その6人の人間を3人で交代しながら演じます。

やがて1人が部屋を出て5人になります。そして4人になり、最後3人になるのですが、舞台上には実際の人間はだれもいなくなります。

ものすごく気持ちのいい構造だなと思います。

 

 

偏見かもですが、演劇ならではの展開だな、と思います。

これは「どこまで伝わるのだろう?」と、思います。

演劇という表現と、演じる俳優と、観客のことを信じているからこそ、こういう作品がつくれるのだなと思います。

それは好奇心だと思います。あるいは挑戦だと思います。

 

 

いや・・・それにしても、なぜ3人のもとに、もう1人の自分が現れたんですかね。

それは何を暗示しているのでしょうか。

 

そして僕の前にもう1人の僕が現れたら、最初、口論はするでしょうが、僕らは2人で協力して生きていく道を選びますね。

交代で働いたり、休んだり、仕事を手分けしたりして。でも、食費とかが倍かかるのか…。それは困るな…。

娘(1歳)と遊んでいるもうひとりの僕。うーん…嫉妬してしまうな…。しかしその隙に、映画でもみにいこうかな。ちゃんと娘の世話ができるのかな。でも娘にももう1人の僕はみえるのかな。そのとき娘は1人なのかな。僕と同じく実は2人になっているのかな。もう1人の僕はちゃんと娘の面倒がみられるのかな。あてにならないな。大丈夫かな…。
  

読み終えて、そんなことを思いました。

 

 

 

 

八王子学生演劇祭2019の出演団体募集中です!

詳しくはこちら

 

 
八王子学生演劇祭2019とは

10代から20代半ばの若者が主体的、かつ、圧倒的に輝く舞台芸術創作を応援するため、2016年から毎年、八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて実施している。2018年は12月21日~23日の3日間、市内外で活動している7団体による公演を実施し、入場者数は600名を越えた。

2019年度からは総合ディレクターを起用。さらなる若者の演劇活動への支援、市民への演劇の普及を目的とし、「みんなで創る演劇祭」としてスタートした。

 

日時:2019年12月21日(土)、22日(日) 

場所:いちょうホール(小ホール)

 

twitter:@hachioji_engeki

2019年7月 4日 (木)

課題戯曲の紹介! 第1回 チェーホフ「プロポーズ」(翻訳:浦 雅春)

八王子学生演劇祭2019
制作・広報担当の荻山です。

 

 

課題戯曲、全5作品を先日公表いたしました。

7/13、15の八王子学生演劇祭ワークショップ&説明会までに、僕も勉強をしておこう。

ということで全5作品の作者と作品内容について、全5回に分けて僕の感想も交えてご紹介いたします。

 

 

 

課題戯曲を実際に手に取るのは、なかなかハードルが高いなと思います。

そのハードルを越えてもらうためにこのブログでは、「1.作者について 」の章で、どういう作者が書いているのか、どういう人が翻訳しているか、を、インターネットで公開されていることを中心に、僕の主観を交えて紹介します。

 

逆に、「2.作品について 」の章では、物語がどのように始まり、どのような登場人物がどれくらいでてきて、どんなことをするのか、そしてどのように終わるのかを、主観や、具体的な台詞のやりとりを、極力排除して紹介します。

排除した理由は、排除した部分をどんなにがんばって書いても、実際に戯曲上でおこなわれる台詞のやりとりのおもしろさには敵わないからです。

ここに書いてあるのは最低限のことです。なので読んでみてもし気になる戯曲がありましたら、ぜひ、戯曲を手にとってみてもらえると嬉しいです。ここに書いてあることよりも、もっともっと面白いです。

 

 

第1回は、チェーホフの「プロポーズ」です。

 

 
 

 

 

 
1.作者について

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

ロシアを代表する劇作家であり、多くの優れた短編を遺した小説家。

いくつかのサイトを紹介します。

 

〇wikipedia「アントン・チェーホフ」

https://ja.wikipedia.org/wiki/チェーホフ

 

〇あなたがただちにチェーホフを読まなければならない理由(RUSSIA BEYOND)

https://jp.rbth.com/arts/79524-chehov

 

死ぬ間際に最後、「私は死ぬ」と言って死ぬ。かっこいいですね。

医者であり、喜劇作家としてスタートしたんですよね。突如「サハリン島」に行った話を調べるとおもしろいエピソードがいっぱい出てきます。

チェーホフの作品は「小さな人々」を書いており、「涙をとおした笑いである」というのは、とても納得です。

 

 

 
翻訳

浦 雅春(うら まさはる) 

 

〇wikipedia

https://www.kotensinyaku.jp/honyaku_list/uramasaharu/

 

誰が翻訳したか、というのはとても大切だと思います。

何故ならば、翻訳によって作品の印象はかなり変わるからです。

例えばこの「プロポーズ」というタイトルは、昔の有名な訳では「結婚申込」でした。

同じ意味ですが、ちょっと印象が違いますよね。時代に合わせた伝わりやすい言葉になっています。

ですので、翻訳者についてもぜひ、みなさんに知ってほしいです。

 

 

浦雅春氏は、岩波書店から「チェーホフ」という本を2004年出版されています。
他にも、ゴーゴリや、エドワード・ブローンの戯曲を翻訳されています。

 

翻訳者の浦さんが、チェーホフについてインタビューされています。
こちらも、とてもおもしろいです。浦BAR、行ってみたかった…。

 

〈あとがきのあとがき〉脈絡のないバラバラの演劇世界は、どのようにできあがったのか──チェーホフ『桜の園/プロポーズ/熊』訳者・浦雅春さんに聞く

https://www.kotensinyaku.jp/column/2013/06/006242/

 

 
また、「桜の園/プロポーズ/熊」(光文社)のあとがきが、チェーホフを読むうえでとても参考になるので、ぜひ読んでみてください。

 

下記はその「あとがき」を読んだ、僕の解釈です。
①サハリン島での滞在でチェーホフの作風が変化したようにみえるがそうではない。
②サハリン島の滞在を経て、チェーホフは世界の中心は一つではなく、中心は喪失していると考えた。
③深刻な物語と、ドタバタ劇が、チェーホフには同列に見えていた。

 

③が、なんだかうれしいですね。悲劇と喜劇が並列で書かれている話が好きです。

 

 

 

 


2.作品について

 

「プロポーズ」

 
1888年 -1889年、チェーホフが30歳手前、文壇の寵児と呼ばれた頃の作品です。

 

 

〇登場人物 ※戯曲より引用
ステパン・ステパーノヴィチ・チュブコーフ(以下、チュブコーフ)
・・・地主
ナターリャ・ステパーノヴナ(以下、ナターリャ)
・・・娘、25歳。(チュブコーフの娘)
イワン・ワシーリエヴィチ・ローモフ(以下、ローモフ)
・・・チュブコーフの隣人、健康でふっくらしているが、とても疑り深い地主

 

 

〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です
場所:チュブコーフ家の客間

 
① 登場人物:チュブコーフ、ローモフ
チュブコーフと、ローモフが、チュブコーフ家の客間で久しぶりに会う。
様子のおかしいローモフの姿を見て、金の無心に来たかと思うチュブコーフ。
しかし、ローモフが娘のナターリャにプロポーズをしに来たと知り、大喜び。
娘を呼びに行くチェブコーフ。1人待つローモフは、緊張のあまり、ものすごく具合が悪くなる。

 

 

 

② 登場人物:ナターリャ、ローモフ
久しぶりに会うナターリャとローモフ。ローモフはプロポーズをしようと話を始めたが、プロポーズにたどり着くだいぶ前のところでつまらないことから口論になる。けっこう、どうしようもない口論になる。

 

 

 

 
③ 登場人物:チュブコーフ、ナターリャ、ローモフ
チュブコーフが現れ、2人に何を騒いでいるのかを聞く。あっという間にチュブコーフも口論に参加し、3人で親族の悪口を言い合ったりするなど、醜い口論となる。とても具合が悪くなり、チュブコーフの家を後にするローモフ。

 

 
④ 登場人物:チュブコーフ、ナターリャ
チュブコーフはナターリャに、「ローモフは君(ナターリャ)にプロポーズに来たのだ」と告げる。
するとナターリャは、どうしてそれを先に言ってくれなかったのかと激怒。ローモフを連れ戻してと、チェブコーフを責める。憤るチェブコーフ。そこに、ローモフが帰ってくる。
 

 

 
⑤ 登場人物:ナターリャ、ローモフ
チュブーコフにさんざん怒られ、なじられ、満身創痍のローモフ。それを労わるナターリャ。しかし、そんな優しい時間は2ページすらもたなかった。愛犬のことで再び口論になる2人。お互いの犬の悪口を言い合う。
 

  

 

⑥ 登場人物:チュブコーフ、ナターリャ、ローモフ
チュブコーフが現れ、2人に何を騒いでいるのかを聞く。あっという間にチュブコーフも口論に参加し、さらに醜い口論がはじまる。やがて、興奮しすぎたローモフは絶命する。悲しみにくれるナターリャ、ショックのあまり自殺をはかろうとするチュブコーフ。その時、息を吹き返したローモフ。喜ぶナターリャは、ローモフと接吻し、プロポーズを快諾する。そして1ページも進まないうちに、激しい口論を始める。チェブコーフは「シャンパンを持って来い!」と叫び続ける。
 

 

 

(終わり)

 

 

  
どうしてもロシア語の名前が覚えにくいという方は、僕がいったん日本の名前に置き換えたこちらをお読みください。

 

 

〇登場人物(戯曲より引用)
ステパン・ステパーノヴィチ・チュブコーフ
地主 →幸雄(幸せになってほしいので、そう名付けました)
ナターリャ・ステパーノヴナ
娘、25歳。(チュブコーフの娘)→幸子(幸せになってほしいので、そう名付けました)
イワン・ワシーリエヴィチ・ローモフ
チュブコーフの隣人、健康でふっくらしているが、とても疑り深い地主
→次郎(なんとなく長男ではなさそうだったので、そう名付けました。)

 

〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です
場所:幸雄の家の客間

 
① 登場人物:幸雄、次郎
幸雄と、次郎が、幸雄家の客間で久しぶりに会う。
様子のおかしい次郎の姿を見て、金の無心に来たかと思う幸雄。
しかし、次郎が娘の幸子にプロポーズをしに来たと知り、大喜び。
娘を呼びに行く幸雄。1人待つ次郎は、緊張のあまり、ものすごく具合が悪くなる。

 

 

② 登場人物:幸子、次郎
久しぶりに会う幸子と次郎。次郎はプロポーズをしようと話を始めたが、プロポーズにたどり着くだいぶ前のところで、つまらないことから口論になる。けっこう、どうしようもない口論になる。

 

 

③ 登場人物:幸雄、幸子、次郎
幸雄が現れ、2人に何を騒いでいるのかを聞く。あっという間に幸雄も口論に参加し、3人で親族の悪口を言い合ったりするなど、
醜い口論となる。とても具合が悪くなり、幸雄の家を後にする次郎。

 

 

④ 登場人物:幸雄、幸子
幸雄は幸子に、「次郎は君(幸子)にプロポーズに来たのだ」と告げる。
すると幸子は、どうしてそれを先に言ってくれなかったのかと激怒。次郎を連れ戻してと、幸雄を責める。憤る幸雄。
そこに、次郎が帰ってくる。

 

 

⑤ 登場人物:幸子、次郎
さんざん怒られ、なじられ、満身創痍の次郎。それを労わる幸子。しかし、そんな優しい時間は2ページすら、もたなかった。愛犬のことで再び口論になる2人。お互いの犬の悪口を言い合う。

 

 

⑥ 登場人物:幸雄、幸子、次郎
幸雄が現れ、2人に何を騒いでいるのかを聞く。あっという間に幸雄も口論に参加し、さらに醜い口論がはじまる。やがて、興奮しすぎた次郎は絶命する。悲しみにくれる幸子、ショックのあまり自殺をはかろうとする幸雄。その時、息を吹き返した次郎。喜ぶ幸子は、次郎と接吻し、プロポーズを快諾する。そして1ページも進まないうちに、激しい口論を始める。幸雄は「シャンパンを持って来い!」と叫び続ける。

 

 

(終わり)

 

 

 

3.あとがき

 
ずっと喧嘩している3人なのですが、なんとなく幸せな結婚になりそうだなと感じるのは僕だけでしょうか。舞台上ではとても極端に、劇的に描かれていますが、喧嘩とは、愛情がないとできないような気がします。口論をする当人からすると悲劇、しかし傍からみる僕ら観客には喜劇、そして全体的にはシニカルではありますが、幸福な作品だなと思います。チェーホフの作品は「小さな人々」を書いている、「涙をとおした笑いである」ということがとてもわかる、質の高い短編だと思います。

 

 

 

 

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八王子学生演劇祭2019とは!

10代から20代半ばの若者が主体的、かつ、圧倒的に輝く舞台芸術創作を応援するため、2016年から毎年、八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて実施している。2018年は12月21日~23日の3日間、市内外で活動している7団体による公演を実施し、入場者数は600名を越えた。

2019年度からは総合ディレクターを起用。さらなる若者の演劇活動への支援、市民への演劇の普及を目的とし、「みんなで創る演劇祭」としてスタートした。

 

日時:2019年12月21日(土)、22日(日) 

場所:いちょうホール(小ホール)

 

twitter:@hachioji_engeki

 

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