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2019年7月 4日 (木)

課題戯曲の紹介! 第1回 チェーホフ「プロポーズ」(翻訳:浦 雅春)

八王子学生演劇祭2019
制作・広報担当の荻山です。

 

 

課題戯曲、全5作品を先日公表いたしました。

7/13、15の八王子学生演劇祭ワークショップ&説明会までに、僕も勉強をしておこう。

ということで全5作品の作者と作品内容について、全5回に分けて僕の感想も交えてご紹介いたします。

 

 

 

課題戯曲を実際に手に取るのは、なかなかハードルが高いなと思います。

そのハードルを越えてもらうためにこのブログでは、「1.作者について 」の章で、どういう作者が書いているのか、どういう人が翻訳しているか、を、インターネットで公開されていることを中心に、僕の主観を交えて紹介します。

 

逆に、「2.作品について 」の章では、物語がどのように始まり、どのような登場人物がどれくらいでてきて、どんなことをするのか、そしてどのように終わるのかを、主観や、具体的な台詞のやりとりを、極力排除して紹介します。

排除した理由は、排除した部分をどんなにがんばって書いても、実際に戯曲上でおこなわれる台詞のやりとりのおもしろさには敵わないからです。

ここに書いてあるのは最低限のことです。なので読んでみてもし気になる戯曲がありましたら、ぜひ、戯曲を手にとってみてもらえると嬉しいです。ここに書いてあることよりも、もっともっと面白いです。

 

 

第1回は、チェーホフの「プロポーズ」です。

 

 
 

 

 

 
1.作者について

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

ロシアを代表する劇作家であり、多くの優れた短編を遺した小説家。

いくつかのサイトを紹介します。

 

〇wikipedia「アントン・チェーホフ」

https://ja.wikipedia.org/wiki/チェーホフ

 

〇あなたがただちにチェーホフを読まなければならない理由(RUSSIA BEYOND)

https://jp.rbth.com/arts/79524-chehov

 

死ぬ間際に最後、「私は死ぬ」と言って死ぬ。かっこいいですね。

医者であり、喜劇作家としてスタートしたんですよね。突如「サハリン島」に行った話を調べるとおもしろいエピソードがいっぱい出てきます。

チェーホフの作品は「小さな人々」を書いており、「涙をとおした笑いである」というのは、とても納得です。

 

 

 
翻訳

浦 雅春(うら まさはる) 

 

〇wikipedia

https://www.kotensinyaku.jp/honyaku_list/uramasaharu/

 

誰が翻訳したか、というのはとても大切だと思います。

何故ならば、翻訳によって作品の印象はかなり変わるからです。

例えばこの「プロポーズ」というタイトルは、昔の有名な訳では「結婚申込」でした。

同じ意味ですが、ちょっと印象が違いますよね。時代に合わせた伝わりやすい言葉になっています。

ですので、翻訳者についてもぜひ、みなさんに知ってほしいです。

 

 

浦雅春氏は、岩波書店から「チェーホフ」という本を2004年出版されています。
他にも、ゴーゴリや、エドワード・ブローンの戯曲を翻訳されています。

 

翻訳者の浦さんが、チェーホフについてインタビューされています。
こちらも、とてもおもしろいです。浦BAR、行ってみたかった…。

 

〈あとがきのあとがき〉脈絡のないバラバラの演劇世界は、どのようにできあがったのか──チェーホフ『桜の園/プロポーズ/熊』訳者・浦雅春さんに聞く

https://www.kotensinyaku.jp/column/2013/06/006242/

 

 
また、「桜の園/プロポーズ/熊」(光文社)のあとがきが、チェーホフを読むうえでとても参考になるので、ぜひ読んでみてください。

 

下記はその「あとがき」を読んだ、僕の解釈です。
①サハリン島での滞在でチェーホフの作風が変化したようにみえるがそうではない。
②サハリン島の滞在を経て、チェーホフは世界の中心は一つではなく、中心は喪失していると考えた。
③深刻な物語と、ドタバタ劇が、チェーホフには同列に見えていた。

 

③が、なんだかうれしいですね。悲劇と喜劇が並列で書かれている話が好きです。

 

 

 

 


2.作品について

 

「プロポーズ」

 
1888年 -1889年、チェーホフが30歳手前、文壇の寵児と呼ばれた頃の作品です。

 

 

〇登場人物 ※戯曲より引用
ステパン・ステパーノヴィチ・チュブコーフ(以下、チュブコーフ)
・・・地主
ナターリャ・ステパーノヴナ(以下、ナターリャ)
・・・娘、25歳。(チュブコーフの娘)
イワン・ワシーリエヴィチ・ローモフ(以下、ローモフ)
・・・チュブコーフの隣人、健康でふっくらしているが、とても疑り深い地主

 

 

〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です
場所:チュブコーフ家の客間

 
① 登場人物:チュブコーフ、ローモフ
チュブコーフと、ローモフが、チュブコーフ家の客間で久しぶりに会う。
様子のおかしいローモフの姿を見て、金の無心に来たかと思うチュブコーフ。
しかし、ローモフが娘のナターリャにプロポーズをしに来たと知り、大喜び。
娘を呼びに行くチェブコーフ。1人待つローモフは、緊張のあまり、ものすごく具合が悪くなる。

 

 

 

② 登場人物:ナターリャ、ローモフ
久しぶりに会うナターリャとローモフ。ローモフはプロポーズをしようと話を始めたが、プロポーズにたどり着くだいぶ前のところでつまらないことから口論になる。けっこう、どうしようもない口論になる。

 

 

 

 
③ 登場人物:チュブコーフ、ナターリャ、ローモフ
チュブコーフが現れ、2人に何を騒いでいるのかを聞く。あっという間にチュブコーフも口論に参加し、3人で親族の悪口を言い合ったりするなど、醜い口論となる。とても具合が悪くなり、チュブコーフの家を後にするローモフ。

 

 
④ 登場人物:チュブコーフ、ナターリャ
チュブコーフはナターリャに、「ローモフは君(ナターリャ)にプロポーズに来たのだ」と告げる。
するとナターリャは、どうしてそれを先に言ってくれなかったのかと激怒。ローモフを連れ戻してと、チェブコーフを責める。憤るチェブコーフ。そこに、ローモフが帰ってくる。
 

 

 
⑤ 登場人物:ナターリャ、ローモフ
チュブーコフにさんざん怒られ、なじられ、満身創痍のローモフ。それを労わるナターリャ。しかし、そんな優しい時間は2ページすらもたなかった。愛犬のことで再び口論になる2人。お互いの犬の悪口を言い合う。
 

  

 

⑥ 登場人物:チュブコーフ、ナターリャ、ローモフ
チュブコーフが現れ、2人に何を騒いでいるのかを聞く。あっという間にチュブコーフも口論に参加し、さらに醜い口論がはじまる。やがて、興奮しすぎたローモフは絶命する。悲しみにくれるナターリャ、ショックのあまり自殺をはかろうとするチュブコーフ。その時、息を吹き返したローモフ。喜ぶナターリャは、ローモフと接吻し、プロポーズを快諾する。そして1ページも進まないうちに、激しい口論を始める。チェブコーフは「シャンパンを持って来い!」と叫び続ける。
 

 

 

(終わり)

 

 

  
どうしてもロシア語の名前が覚えにくいという方は、僕がいったん日本の名前に置き換えたこちらをお読みください。

 

 

〇登場人物(戯曲より引用)
ステパン・ステパーノヴィチ・チュブコーフ
地主 →幸雄(幸せになってほしいので、そう名付けました)
ナターリャ・ステパーノヴナ
娘、25歳。(チュブコーフの娘)→幸子(幸せになってほしいので、そう名付けました)
イワン・ワシーリエヴィチ・ローモフ
チュブコーフの隣人、健康でふっくらしているが、とても疑り深い地主
→次郎(なんとなく長男ではなさそうだったので、そう名付けました。)

 

〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です
場所:幸雄の家の客間

 
① 登場人物:幸雄、次郎
幸雄と、次郎が、幸雄家の客間で久しぶりに会う。
様子のおかしい次郎の姿を見て、金の無心に来たかと思う幸雄。
しかし、次郎が娘の幸子にプロポーズをしに来たと知り、大喜び。
娘を呼びに行く幸雄。1人待つ次郎は、緊張のあまり、ものすごく具合が悪くなる。

 

 

② 登場人物:幸子、次郎
久しぶりに会う幸子と次郎。次郎はプロポーズをしようと話を始めたが、プロポーズにたどり着くだいぶ前のところで、つまらないことから口論になる。けっこう、どうしようもない口論になる。

 

 

③ 登場人物:幸雄、幸子、次郎
幸雄が現れ、2人に何を騒いでいるのかを聞く。あっという間に幸雄も口論に参加し、3人で親族の悪口を言い合ったりするなど、
醜い口論となる。とても具合が悪くなり、幸雄の家を後にする次郎。

 

 

④ 登場人物:幸雄、幸子
幸雄は幸子に、「次郎は君(幸子)にプロポーズに来たのだ」と告げる。
すると幸子は、どうしてそれを先に言ってくれなかったのかと激怒。次郎を連れ戻してと、幸雄を責める。憤る幸雄。
そこに、次郎が帰ってくる。

 

 

⑤ 登場人物:幸子、次郎
さんざん怒られ、なじられ、満身創痍の次郎。それを労わる幸子。しかし、そんな優しい時間は2ページすら、もたなかった。愛犬のことで再び口論になる2人。お互いの犬の悪口を言い合う。

 

 

⑥ 登場人物:幸雄、幸子、次郎
幸雄が現れ、2人に何を騒いでいるのかを聞く。あっという間に幸雄も口論に参加し、さらに醜い口論がはじまる。やがて、興奮しすぎた次郎は絶命する。悲しみにくれる幸子、ショックのあまり自殺をはかろうとする幸雄。その時、息を吹き返した次郎。喜ぶ幸子は、次郎と接吻し、プロポーズを快諾する。そして1ページも進まないうちに、激しい口論を始める。幸雄は「シャンパンを持って来い!」と叫び続ける。

 

 

(終わり)

 

 

 

3.あとがき

 
ずっと喧嘩している3人なのですが、なんとなく幸せな結婚になりそうだなと感じるのは僕だけでしょうか。舞台上ではとても極端に、劇的に描かれていますが、喧嘩とは、愛情がないとできないような気がします。口論をする当人からすると悲劇、しかし傍からみる僕ら観客には喜劇、そして全体的にはシニカルではありますが、幸福な作品だなと思います。チェーホフの作品は「小さな人々」を書いている、「涙をとおした笑いである」ということがとてもわかる、質の高い短編だと思います。

 

 

 

 

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八王子学生演劇祭2019とは!

10代から20代半ばの若者が主体的、かつ、圧倒的に輝く舞台芸術創作を応援するため、2016年から毎年、八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて実施している。2018年は12月21日~23日の3日間、市内外で活動している7団体による公演を実施し、入場者数は600名を越えた。

2019年度からは総合ディレクターを起用。さらなる若者の演劇活動への支援、市民への演劇の普及を目的とし、「みんなで創る演劇祭」としてスタートした。

 

日時:2019年12月21日(土)、22日(日) 

場所:いちょうホール(小ホール)

 

twitter:@hachioji_engeki

 

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