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2019年7月12日 (金)

課題戯曲の紹介! 第5回 東京都立八王子東高等学校演劇部「学割だからいいのよ」

八王子学生演劇祭2019

制作・広報担当の荻山です。

 

八王子学生演劇祭2019の出演団体募集中です!

詳しくはこちら

 

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課題戯曲、全5作品を先日公表いたしました。

7/13、15の八王子学生演劇祭ワークショップ&説明会までに、僕も勉強をしておこう。

ということで全5作品の作者と作品内容について、全5回に分けて僕の感想も交えてご紹介いたします。

 

 

 

課題戯曲を実際に手に取るのは、なかなかハードルが高いなと思います。

そのハードルを越えてもらうためにこのブログでは、「1.作者について 」の章で、どういう作者が書いているのか、どういう人が翻訳しているか、を、インターネットで公開されていることを中心に、僕の主観を交えて紹介します。

 

逆に、「2.作品について 」の章では、物語がどのように始まり、どのような登場人物がどれくらい出てきて、どのようなことをするのか、そしてどのように終わるのかを、僕の主観や具体的な台詞のやりとりを、極力排除して紹介します。

排除した理由は、排除した部分をどんなにがんばって書いても、実際に戯曲上でおこなわれる台詞のやりとりのおもしろさには敵わないからです。

ここに書いてあるのは最低限のことです。なので読んでみてもし気になる戯曲がありましたら、ぜひ、戯曲を手にとってみてもらえると嬉しいです。ここに書いてあることよりも、もっともっと面白いです。

  

 

第5回は、東京都立八王子東高等学校演劇部の「学割だからいいのよ」です。

  

 

 

1.作者について

東京都立八王子東高等学校演劇部

  

 

この作品だけは、具体的な作者名はありません。

「学割だからいいのよ」という戯曲は、2007年に東京都立八王子東高等学校演劇部が、東京都高等学校文化祭演劇部門で全国大会まで勝ち進んだときの上演台本です。

当時の演劇部生徒たちにより一から創作されました。 

演劇祭ディレクターの中込が、OGとしてコーチをしていた縁で、今回、課題戯曲として紹介させていただけることになりました。

 

 

全国大会に行く。これは大変なことです。

だいたい2000弱くらいの団体がエントリーするのですが、2007年だとその中の12団体が全国大会に進めた、との記録があります。

その当時の八王子東高校の盛り上がりについて記載されたサイトを紹介いたします。

 

■全国高等学校総合文化祭体験記【報告】

http://www.hachihiga.org/pta/taiken/H18/taiken0602.html

 

 

 

 

 

2.作品について

「学割だからいいのよ」

 

細かなエピソードがとりとめなく連続していきます。

 

 

〇登場人物 ※戯曲より引用

A、B、C、D

 

〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です

① 登場人物:A、B

ランドセルを背負って、小学生帽をかぶった2人が会話をしている。

話題がくるくると入れ替わる。とりとめのない会話で時間をつぶしているような、そんな時間。

 

 

② 登場人物:A、B、C

Cが入ってくると、英語の授業が始まる。しかし、英語の授業は始まらない。AとBの会話は徐々に熱を帯びてくる。しかし会話の中身はあっちにいったりこっちにいったり、歌ったり、やはりとりとめがない。それを眺めているC。東大、合格、イエーイ。というセリフで、この場面は終わる。

 

 

③ 登場人物:C

Cの独白。どうやら誰かの進路指導をしているようだ。やがて自分のセンター試験の思い出を語り始める。大人が語る、大人の理不尽についての話。

 

 

④ 登場人物:A、B、C、D

A、B、Dが入ってきて、そこはセンター試験の会場となる。しかし、それはまるで軍隊のような有様。青春をしろ!というおたけびをあげる。その後、突如シーンが変わり、Aが文化祭でやるクラス劇の台本を書く人を募集する。誰も台本を書きたがらない。泣きだすA。そんななか、Cが台本を書くと名乗りをあげる。一同拍手。最初はがんばるA、B、Cだったが、やがてA、Bのクラス劇に対する興味は薄れていく。そしてAの発案でバンドを組む3人。歌う。そしてひとしきり歌ったのちに、Dの号令で再び受験に向かう。

 

 

⑤ 登場人物:A、B、C

掃除をしながらしりとりをしているA、B、C。単語だったしりとりが、やがて文章となり、物語となる。文化祭でパン泥棒の疑いをかけられた話。だったら卒業しません!小学生に戻ります。というセリフで、このシーンは終わる。

 

 

⑥ 登場人物:A、C

オセロをするA、C。Cが優勢のようだ。ある時、AがCに、「今、ズルをしただろう?」、と告げる。ズルはしていないというC。やがてその会話は、シェイクスピアの「オセロー」の一節になる。架空のナイフで自害するオセロー役のA。再びオセロ。Aが勝ったところでこのシーンが終わる。

 

 

⑦ 登場人物:D

Dがランドセルを背負って現れる。オセロをしたり、オセロを片付けたり、鉛筆を蹴ったり、ハチマキとメガネをランドセルにしまったりする。そして去る。

 

 

⑧ 登場人物:A、B、C

シェイクスピアの「オセロー」について語り合う2人。そこにBがやってきて、もう最終下校の時間であると告げる。学校に泊まろうと提案するA。しかしルールなので下校することになる。しまい忘れたオセロの1ピースが不思議と温かい。そしてBの手元で動き出す。Bはオセロの赴くままに文字を書く。黒白黒白…。

やがて中央に大きなランドセルが現れる。その中に入っていくA、B、C、D。

 

 

 

(終わり)

 

 

 

3.あとがき

 

いりみだれる直喩、暗喩、言葉遊び。

ぜひ、ダウンロード して全文読んでみてもらえると嬉しいです。

 

 

先日、「ゴドーを待ちながら」という作品を観ました。フランスの劇作家であり小説家、詩人であるサミュエル・ベケットの戯曲です。課題戯曲の「3人いる!」の作者である多田淳之介氏が演出をしていました。様々な人が様々な形で上演をしている名作の1つです。

 

以下、あらすじ(wikipediaより転載)

『ゴドーを待ちながら』は2幕劇。木が一本立つ田舎の一本道が舞台である。

第1幕ではウラディミールとエストラゴンという2人の浮浪者が、ゴドーという人物を待ち続けている。2人はゴドーに会ったことはなく、たわいもないゲームをしたり、滑稽で実りのない会話を交わし続ける。そこにポッツォと従者・ラッキーがやってくる。ラッキーは首にロープを付けられており、市場に売りに行く途中だとポッツォは言う。ラッキーはポッツォの命ずるまま踊ったりするが、「考えろ!」と命令されて突然、哲学的な演説を始める。ポッツォとラッキーが去った後、使者の少年がやってきて、今日は来ないが明日は来る、というゴドーの伝言を告げる。

第2幕においてもウラディミールとエストラゴンがゴドーを待っている。1幕と同様に、ポッツォとラッキーが来るが、ポッツォは盲目になっており、ラッキーは何もしゃべらない。2人が去った後に使者の少年がやってくる。ウラディミールとエストラゴンは自殺を試みるが失敗し、幕になる。

 

 

「ゴドーを待ちながら」に影響を受けた作品はたくさんあるといわれており、ゆえにそれを引き合いに出すのは若干照れ臭いのですが、「学割だからいいのよ」の登場人物たちの消費されていく時間は、ウラディミールとエストラゴンがゴドーを待っている間にしている会話に似ているなと思いました。会話のための会話。会話するということが楽しみであり、目的である会話。個人的であり、社会のことでもある会話。ゴドーだと登場人物は老人ですが、「学割だからいいのよ」は登場人物が10代なので、そこから響いてくるメッセージはまたちょっと違う気がします。

  

 

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八王子学生演劇祭2019とは

10代から20代半ばの若者が主体的、かつ、圧倒的に輝く舞台芸術創作を応援するため、2016年から毎年、八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて実施している。2018年は12月21日~23日の3日間、市内外で活動している7団体による公演を実施し、入場者数は600名を越えた。

2019年度からは総合ディレクターを起用。さらなる若者の演劇活動への支援、市民への演劇の普及を目的とし、「みんなで創る演劇祭」としてスタートした。

 

日時:2019年12月21日(土)、22日(日) 

場所:いちょうホール(小ホール)

 

twitter:@hachioji_engeki

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