課題戯曲の紹介! 第4回 山内晶『マイアポカリプス』
八王子学生演劇祭2020
ディレクターの荻山です。
八王子学生演劇祭2020 団体参加の課題戯曲、全7作品を先日公表いたしました。
その内、今年度新たに課題戯曲となった5作品について紹介していきます。
戯曲を実際に手に取るのは、なかなかハードルが高いなと思います。
そのハードルを越えてもらうためにこのブログでは、「1.作者について 」の章で、どういう作者が書いているのか、どういう人が翻訳しているかを中心に紹介します。
また、「2.作品について 」の章では、物語がどのように始まり、どのような登場人物がどのくらい出てきて、どのようなことをするのか、そしてどのように終わるのか、を紹介します。
ここに書いてあるのは最低限のことです。少しでも気になったら、ぜひ、戯曲を手にとってみてください!
どれも本当に面白く、とても挑みがいがあります!
第4回は、山内晶 作「マイアポカリプス」です。
1.作者について
山内晶
キリグス主宰
歌舞伎女子大学メンバー
以上2つの団体の全作品の脚本・演出担当
日本大学芸術学部卒業/青年団演出部所属
ロマンかロマンスかロマンチックがそこにある舞台芸術を作るべく、そのとき感銘を受けた文化(口承文学、伝承、クラブミュージック、歌舞伎、人形浄瑠璃、落語、漫画、アニメ、ファンタジー小説、etc)を編み込み、独特の世界を作り出す
<受賞歴>
AnK『ヘナレイデー』が2014年度佐藤佐吉賞最優秀演出賞
AKB ShortShorts project 映画『9つの窓』にて脚本提供をした『candy』がベスト作品大賞を受賞
『白痴をわらうか』が第17回AAF戯曲賞の特別賞を受賞
『朽ちた蔓延る(くちたはびこる)』が第18回AAF戯曲賞の大賞を受賞
〇公式HPより抜粋
http://wearekiligs.com/about/yamanouchi/
2.作品について
“なんで出ていかないんだろう”をテーマに架空の衰退していく部族の集会を占い師の演説という形で描く一人芝居。
〇CoRich舞台芸術 beta 改名記念公演「キリグス」公演ページより引用
https://stage.corich.jp/stage/89742
〇登場人物 ※戯曲の紹介順
話者・ワタンシ
(1人芝居が可能)
〇あらすじ ※あくまで戯曲上でおこる出来事の羅列です
1.まくらばなし
話者が現れ、下記を伝える。
・南から来たヌーリア人と、北らか来たタジカン人が移住先を奪いあい争っていると、土地が大きく盛り上がり顔の形を成し、顔が、喧嘩と畑は、鼻の上ではなくほっぺでやるよう伝えた。(タジカヌーリアン人の創世記)
・登場人物は、半年前に失踪した占い師のワタンシ、ワタンシが唯一心を通わせるアナタン
・物語は鼻の上の集会場、タジカヌーリアン人の収穫祭の日からはじまる
2.大移動プレゼンテーション開会宣言
ワタンシが失踪から帰ってくる。ワタンシは覚悟をもち、主張をはじめる。我とあなたとアナタンのことを、語る。
3.予言編
ワタンシは、この土地を捨てて、外の世界へいこう、と呼びかける。失踪していた時期の話をはじめる。
4.おいたち編
まず、ワタンシが自分のことを語る。自分の性格、過去の重大だけどささやかな罪など。
5.酋長喧嘩編
西の地に移り住め、という意味ありげな声を聞いた半年前。アナタンの命令で、それを酋長に伝える。
しかしどうやら信じてもらえなかったようだ。
6.アナタン来ない編
ワタンシが、アナタンと話している。(戯曲上では、アナタンが存在している体で、ワタンシが1人で演じている)
ワタンシは、西の山にいくとアナタンに伝え、いっしょに行こうと誘うが、断られる。
7.下山編
1人、旅立つワタンシ。盗んだバイクで走り出す。出がけに、アナタンの家屋を破壊したりする。
8.ドンガッデン平野編
ドンガッデン平野にたどり着くワタンシ。そこで天の声を聞く。どうしようもない天の声。気が付くと、沼に沈んでいくワタンシ。そこにあらわれるトウモロコシ。ドンガッデン平野は豊穣の地であった。しかし、空腹で死にかけるワタンシ。崖から落ちる。
9.水中世界溺死寸前編
崖から落ちた先にあったのは、地底湖だった。ワタンシが地底湖で溺れる様をしばし堪能できる。
10.地底湖民族編
溺れているワタンシ。必死。そこに船がやってくる。船の上には男(ジェロヒロ ※存在する体で演じられる)。
ジェロヒロは、職業は格闘家、趣味は武者修行、母親と2人暮らしであることが明かされる。
11.地底民族ビザ取得編
ジェロヒロに助けられたワタンシは、役場に連れていかれる。ワタンシを預かるというジェロヒロ。ビザの取得を勧められるワタンシは、リズム試験を受けることになる。
12.リズム受験勉強編
リズムの練習をするワタンシ。3食風呂付き酒飲み放題。しかし、そんな自堕落で最高な生活は、長くは続かなかった。
13.ジェロヒロ告白編・外出
ジェロヒロが、突然出かける。連れていかれるワタンシ。
14.ジェロヒロ告白編・水上ダンスホール
行きついた先は、地底湖がライトアップされたダンスホール。ワルツを踊るワタンシとジェロヒロ。ジャイブを踊るワタンシとジェロヒロ。漂うプロポーズの気配に危機感を感じたワタンシは、リズム試験を大急ぎで受けることにした。
15.リズム試験編
リズム試験を受けるワタンシ。合格する。しかし通達の文字には、ビザは出せないと書かれている。ワタンシに、山の上から故郷をみることを促す通達の文字。
16.リズム登山編
リズムとヴィジョンに導かれ山を登るワタンシ。その山は、薬剤師のアナタンが作った薬のにおいがした。
アナタンが昔、ワタンシに旅立ちについて言ったことを思い出す。
17.山頂登頂編
山頂にたどり着くワタンシ。故郷が吹き出物のように見えた。故郷に帰ることにするワタンシ。
18.民衆説得編
来た道をたどって、故郷へ、アナタンの元へ帰るワタンシ。
しかし、アナタンは故郷を捨てられない。なぜなら、おばあちゃんに恨まれるのが怖い。
どうすれば人の心を動かせるのか、悩むワタンシ。
19.民衆説得編
アナタンはワタンシに、民族全員を説得できたら、一緒に行くと伝えたという。
ワタンシはこの土地にとどまることの意味を問いかけ、外の世界へと誘う。その声は届いているのだろうか。
20.採決
ワタンシは、自分と共に今を変えてくれる人はいるか、と問いかける。
おわり
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八王子学生演劇祭2020とは
2016年から八王子市芸術文化会館(いちょうホール)にて開催している、10代から20代半ばの若者が主役の演劇祭。毎年12月、八王子市内外で活動している複数団体・個人による公演を実施している。2019年からは総合ディレクターを起用。課題戯曲への挑戦や、市民や観客を巻き込んで行う創作劇など、出演者がより輝く舞台づくりを通して、広く演劇文化の普及に努めている。
日時:2020年12月19日(土)、20日(日)
会場:いちょうホール(小ホール)予定 ※上演形式については変更する可能性があります。
twitter:@hachioji_engeki
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