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2020年9月

2020年9月11日 (金)

一緒に創ろう!個人参加の話③ ざきりんさんの話・どういう稽古場にしてきたいか・参加者に期待すること

八王子学生演劇祭制作・広報の荻山です。

 

 

前回に引き続き、「一緒に創ろう!個人参加」の対談。今日は最終回です。前回はこちら。2回目はこちら

 

 

八王子学生演劇祭2020 出演団体・個人の募集はこちら

上演日時:2020年12月19日(土)、20日(日)

会場:いちょうホール(小ホール)予定 ※上演形式については変更する可能性があります。

Photo_20200712125701

デザイン:こばやし帝国

 

 

 

<お話をする人のプロフィール>

中込 遊里(なかごめ ゆうり)

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1985年日野市生まれ。都立八王子東高校出身。日本大学芸術学部在籍中、演出と演技を中心に学ぶ。卒業制作公演「夏の夜の夢」(作・シェイクスピア)では歴代最高の動員数を記録。大学在籍中に「鮭スペアレ」旗揚げ(2006年~)。シェイクスピアなどの古典作品を、生演奏の音楽劇として演出する。2014年・2015年「利賀演劇人コンクール」奨励賞受賞。2016年より立川市の文化創造施設「たちかわ創造舎」に劇団の拠点を構え、中高校生と演劇創作する「たちかわシェイクスピアプロジェクト」を開始。これまでのワークショップ参加者は150名を超える。その場に集う人々の力をどこまでも信じることから作品を編み出すことをモットーとする。

 

 

清水 いつ鹿(しみず いつか)

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撮影:木村護

東京都中野区出身。小中高と9年間演劇部に所属。日本大学芸術学部演劇学科演技コース在籍中、「鮭スペアレ」に入団し、以来俳優として活動を続ける。同団体には第2回公演以来全作品に出演。劇団の看板として、安定した低音声で劇世界の根底を支える。2017年より「たちかわシェイクスピアプロジェクト」でのワークショップ講師も務める。

 

 

宮崎 悠理(みやざき ゆうり)

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大阪府東大阪市出身。桜美林大学卒業。高校は大阪市立の演劇学科を卒業。現在はフリーの俳優として舞台を中心に活動しており、コンテンポラリーダンス作品や映像作品にも出演している。また、演劇を用いたコミュニケーションワークショップのファシリテーターとしての活動に注力しており、小学生から高校生を対象にコミュニケーション能力向上を目的としたワークショップを都内外問わず実施している。

 

 

 

今年はどういう作品づくりを目指すのか、演劇祭の総合ディレクターであり、「一緒に創ろう!個人参加」の演出を行う中込遊里さん(以下、中込)、演出助手の清水いつ鹿さん(以下、いつ鹿)、宮崎悠理さん(以下、ざきりん)からお話を伺いました。

 

 

 

― 今回は初めて演出助手という形で、ざきりんさんに参加してもらうのですが、どういう経緯でそうなったのですか?

中込:私は年間で沢山ワークショップをやっているんですが、専門的にそういう勉強をしたことはなくて。ざきりんは、ワークショップファシリテーターの仕事をしていて、そういう部分に興味がある人と一緒に仕事をしたいと考えて声をかけました。

  

― どんな部分に期待していますか?

中込:年齢が私と参加者たちの丁度中間なので、視点や感覚の違いを基に、作品に切り込んでくれる事を期待しています!

  

ざきりん:なるほど。初めて聞きました(笑)。

 

いつ鹿:今、初めて(笑)。

 

ざきりん:はい(笑)。

 

― 普段は、どのような活動をされているんですか?

ざきりん:今、小学校や中学校で、演劇を用いた授業の一環として、コミュニケーションワークショップを行っています。

 

― 楽しそう。でも、演じること、というのは子供達にはそんなに馴染みがないですよね?

ざきりん:うんうん。演じるとなるとやっぱり恥ずかしがる子供達もいるんですが、みんなを巻き込んで、演劇創作を一緒に行う。そうすると、いつもとは違うコミュニケーションが生まれて、とても楽しいです。

  

― なるほど。ざきりんさんは、いつから演劇を始めたのですか?

ざきりん:私は高校から演劇をはじめたんですが、演劇部ではなく演劇学科からスタートしました。舞台の事を知らない中で演劇を始めたので、楽しめなくて、1年間荒れに荒れた生活を送り・・・。

  

いつ鹿:荒れに荒れた(笑)。

   

ざきりん:本当に、演劇、大嫌い。と、その頃は思っていて。恥ずかしくて仕方がなくて、演劇(笑)。

  

中込:そんなに(笑)。

   

ざきりん:でも高校で演劇学科に入ったから、3年間は演劇をやらないといけない。どうしようって。

  

中込:でも、今も続けてるんだよね、演劇(笑)。

  

ざきりん:そうなんです(笑)。

  

いつ鹿:何で続けようと思ったの?

  

ざきりん:高校2年生のときに、それまで学校で教わっていた演劇とは、違うタイプの演劇を教える講師の人が来て、その人のワークショップを受ける機会があったんです。そうしたら、その内容にはまってしまって。

  

― 演劇も色々な種類がありますからね。

ざきりん:そうなんです。演劇って本当に沢山の種類があって、1つの考えに固執しないって凄く大事だなって思っていて。演劇には、演劇を嫌いになってしまいやすい、危うさもある。でも演劇でしか自分のことを知ることができない。自分を知って、他者を知って、価値観を知って、話を擦り合わせる事ができるようになる、合意形成がとれるようになる、そのことを高校2年生の時に知ることができて。

  

中込:いい出会い。

 

ざきりん:そして大学に入ってからは、お客さんからお金を頂いて活動をするようになった。そうすると高校の時に感じていた、みんなで作る楽しさだけではなく、演劇は個人作業も多いということを知った。ちゃんと役のことを考えて、作戦を立てて稽古に臨む。そういう孤独な時間も演劇にはあって、それを楽しめたことが、今まで演劇を続ける糧になっている。

 

 

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ざきりん:演劇を楽しめた瞬間が、15歳から25歳くらいの時にあったのは、私にとって貴重な経験だったと思っています。これからどう演劇と付き合っていくのか。このあと演劇を続けなくても、演劇から得たものは大きい。でも、演劇を続けるのなら、みんなでつくる楽しさだけじゃない、何かもう一つ自分の中で楽しいと思えることを見つける必要がある。その楽しさを参加者と一緒に見つける作業が、この個人参加の活動の中で出来たらと思っています。

   

― 確かに若い時期に、色々な価値観に出会うのは大切だと思います。

中込:思い返すと、去年参加してくれた人達は、演劇に凄くこだわりがある人が多かった。「演劇は好きだけど続けていけるのか」、「演劇とどのような関わり方をしていけばいいのか」を考えている人達と一緒に、とても刺激的な作品創りができた。やっぱり演劇は楽しいから、続けて欲しい。演劇と長く付き合っていける環境を作るのが私の目標で、この個人参加の活動はその目標につながっていると考えています。

  

 

  

― いつ鹿さんは、今年はより演技の方をサポートしていく形になるんですか?

中込:俳優だからこそわかる細かい部分をアドバイスしたり、一緒に表現方法を考えたりという部分を、サポートしてもらおうと思っています。ただ演技全般に関しては、〇〇メソッドみたいな訓練は行わない予定です。

 

― どんな演技を参加者に求めるのですか?

中込:他者と関わるための手段としての演技を発見してほしい。日常生活で他者と活き活きと関わることってけっこう難しいじゃないですか。でも、演技を通せば、不思議と人にうまく何かを伝えることが出来るような気がするし、相手の言葉を聞くことの大切さがわかったりもします。戯曲にある事を表現するのはもちろん、その上で活き活きと舞台上にいられるための演技を一緒に考えたい。

 

― とすると、どのようになっていくんですか?

中込:その為には、即興が大事だと思っていて。即興の比率を上げていくと、作品はリアリティに寄っていく。ファンタジーになりにくいやり方なんだけど、でも最終的にはファンタジーにする。ファンタジーによって、家族というファンタジーを語らない。そういう事をやりたい。

  

― ファンタジーによって、家族というファンタジーを語らない。もう少し教えてください。

ざきりん:自分を隠すための小手先をあまり使わず、自然に舞台上にいられることを目指す、みたいな。

  

中込:そうそう!伝わってる!自分を厚塗りして舞台に立つわけではなく、自分の本名で堂々と舞台に立てる感じにしたい。

  

ざきりん:土台みたいなのがないと、演じるのは難しくて。自分を演じる上で、やっぱり土台は必要で。でも土台の上では裸。そこに色々な衣装を着せたくない。

 

― なるほど。

中込:土台がないと創作じゃなくなっちゃうからね。創作を通して、自分じゃないものを演じているはずなのに、すごく楽だなって感じられるといいなって。その時に、今回、家族という仕組みを使う。カリソメの家族になる、みんなで一緒に舞台上で暮らすぞ、みたいなことをしたい。もちろん、家族だからって一緒に暮らしません、っていう結論になるかもしれないけど。

  

― なるほど。

中込:なので進め方としては去年と一緒で、まずはみんなで家族について考え、話すところからスタートする。集まってくれた人の適正を見ながら、役割を割り振っていこうかなと。

 

― なるほど。

中込:そして、前回も即興の要素をかなり取り入れたんだけど、即興で作ったものを台本にするという事が多かった。今年は、本番、舞台上で即興で演じるシーン、というのが増えるかなと思う。

  

― なるほど。

中込:さっきから、なるほど、しか言ってないですけど。

 

― すみません・・理解が追い付かず。。

中込:でもこの話って、きっと言葉じゃうまく伝わらないので、参加者には言わないつもりです。

  

― ん・・?あれ?じゃあ、この話は書かない方がいいですか?

中込:・・・

  

― インタビュー・・・なのですが・・・ ?

中込:おまかせします!

  

  

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―  最後に、どんな人に参加してほしいですか?

中込:悩んでいる人。

  

いつ鹿:危ない。同じこと言いそうだった(笑)。

  

中込:演劇が辛い、嫌いって人が来てくれたら、好きにさせてあげることはできないけど、嫌いでいても良いって状況はつくってあげられる。私も昔は嫌いな時期があったけど、今は好きだし。辛さを軽減するための手伝いは出来るかなって。

  

ざきりん:私は、家族にあまり想いが無い人に来て欲しい。自分の家族って普通だって思う人が多い気がして。でもそれは人から見ると普通じゃない。他の人と、自分の家族とは違うから。自分の家族が普通だよって思う人と、実は普通じゃない部分を考えていく事が出来たら良いな、と。

  

いつ鹿:私は、逆に、自分の家族に違和感がある人に来てほしい。家族ってなんでこうなんだろう。理想の形はあるけど、そうはなれない。悩んでしまう。自分に対して怒ってしまう。でも悩んでもいい、怒ってもいい、理想の形とズレがあってもいい。一緒に演劇創作をすることで、そういう風に考えられるようになるんじゃないかな、と思います。

 

 

 

終わりです。

わからないこと、聞いてみたいことがありましたら、ぜひ、下記までお問い合わせください。

geishin78@hachiojibunka.or.jp(担当:荻山)

 

 

沢山のご応募、お待ちしています!

一緒に創ろう!個人参加の話② サザエさんとガラパゴス家族

八王子学生演劇祭制作・広報の荻山です。

 

 

前回に引き続き、「一緒に創ろう!個人参加」の対談2回目です。前回はこちら

 

 

 

八王子学生演劇祭2020 出演団体・個人の募集はこちら

上演日時:2020年12月19日(土)、20日(日)

会場:いちょうホール(小ホール)予定 ※上演形式については変更する可能性があります。

Photo_20200712125701

デザイン:こばやし帝国

 

 

 

 

<お話をする人のプロフィール>

中込 遊里(なかごめ ゆうり)

2_20200617102401

1985年日野市生まれ。都立八王子東高校出身。日本大学芸術学部在籍中、演出と演技を中心に学ぶ。卒業制作公演「夏の夜の夢」(作・シェイクスピア)では歴代最高の動員数を記録。大学在籍中に「鮭スペアレ」旗揚げ(2006年~)。シェイクスピアなどの古典作品を、生演奏の音楽劇として演出する。2014年・2015年「利賀演劇人コンクール」奨励賞受賞。2016年より立川市の文化創造施設「たちかわ創造舎」に劇団の拠点を構え、中高校生と演劇創作する「たちかわシェイクスピアプロジェクト」を開始。これまでのワークショップ参加者は150名を超える。その場に集う人々の力をどこまでも信じることから作品を編み出すことをモットーとする。

 

 

清水 いつ鹿(しみず いつか)

S__57221235

撮影:木村護

東京都中野区出身。小中高と9年間演劇部に所属。日本大学芸術学部演劇学科演技コース在籍中、「鮭スペアレ」に入団し、以来俳優として活動を続ける。同団体には第2回公演以来全作品に出演。劇団の看板として、安定した低音声で劇世界の根底を支える。2017年より「たちかわシェイクスピアプロジェクト」でのワークショップ講師も務める。

 

 

宮崎 悠理(みやざき ゆうり)

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大阪府東大阪市出身。桜美林大学卒業。高校は大阪市立の演劇学科を卒業。現在はフリーの俳優として舞台を中心に活動しており、コンテンポラリーダンス作品や映像作品にも出演している。また、演劇を用いたコミュニケーションワークショップのファシリテーターとしての活動に注力しており、小学生から高校生を対象にコミュニケーション能力向上を目的としたワークショップを都内外問わず実施している。

 

 

 

今年はどういう作品づくりを目指すのか、前回に引き続き、演劇祭の総合ディレクターであり、「一緒に創ろう!個人参加」の演出を行う中込遊里さん(以下、中込)、演出助手の清水いつ鹿さん(以下、いつ鹿)、宮崎悠理さん(以下、ざきりん)にお話を伺いました!

 

 

 

― 今回の八王子学生演劇祭「一緒に創ろう!個人参加」での作品タイトルですが、『ガラパゴス家族』ということで、家族に焦点があたるのかなと思っています。どうしてこのタイトルにしたのでしょうか。

中込:うーんと。

  

― どうしてもタイトルを『ガラパゴス家族』にしたい、という話だったかと思うのですが。

中込:えーと。

  

いつ鹿:きっと、思いつき、と、思い込みだったんじゃないかな(笑)。

  

ざきりん:すごい言われよう(笑)。

  

中込:ねえ、こういうインタビューって、普通、誰かがフォローしてくれるんじゃないの(笑)。

  

いつか:自分で自分を守るしかない(笑)。

  

一同、笑う

  

中込:家族をテーマにしたのは2つ理由があります。まず、いま外出自粛が続く中で、家族と、家族じゃない人の人間関係が切り分けられてしまったなと。家族と過ごす時間も増えたし。1人で暮らしている場合も含めて、家族というものを考えざるを得ない状況になったなって。それを今回の創作のスタートにして、みんなで考えたいなと思いました。

  

― 確かに、家族と過ごすことが増えました。

中込:もう一つは、去年の個人参加枠では、「どこでもないなんでもないコミュニティとファンタジー」というテーマがあった。そのテーマには引き続き興味がある。演劇創作を行うときに、何にも縛られない、名前も付けられないようなコミュニティができたら楽しいと思う。それを考えるにあたって、家族というテーマは、とてもヒントになる。

 

― なるほど。そういうことを踏まえてもう少し聞かせてください。家族を題材にした作品ってものすごく沢山あると思うのですが、今回はどのようにこのテーマに切り込んでいく予定ですか?

中込:え・・どうなるんだろう。ふふ(笑)。

  

― えっと・・どうなると思いますか、いつ鹿さん。

いつ鹿:なるほど、今日ここに呼ばれたのは、こういう質問を私に丸投げをする為だという事がわかりました。

  

一同、笑う

 

 

 

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いつ鹿:『ガラパゴス家族』というタイトルからは、例えば昭和から脈々と続くホームドラマみたいな感じは受けない。おじいちゃん、おばあちゃん、おとうさん、おかあさん、猫のタマ、という感じではなく、家族の固定概念を壊すような作品になるのではないかなと。

  

中込:そうそう。

  

いつ鹿:でも逆に、みんなが想像できる家族、サザエさん、みたいな。そこをスタートにしてもいいかもしれない。

  

― 確かに、色々な切り口が想像できますよね。ちなみに、『ガラパゴス』という言葉を使ったのは、どのような意図があるんですか?

一般的に「ガラパゴス化」というと閉鎖的というマイナスイメージがありますが、ガラパゴス諸島では閉鎖的ゆえに生物が独自の進化を遂げたという面白さがあります。独自の進化を遂げるって、未知でワクワクしませんか。その独特さと、去年からの創作テーマ「どこでもないなんでもないコミュニティ」が結びつきました。

 

― では、独自の進化を遂げた家族の話、という感じですか?

そうなるのかはまだわからないんですけど、まずは参加者のみなさんと話しながら家族についての思考を網の目のように広げていき、集まった人たちでの独自の家族作りをしていきたいです。ただ、今私が妄想しているのは、社会をよりよくするための、立派な社会構成員としての家族の形を考えるというよりは、より個的な、ガラパゴスの名前の通り閉鎖的な家族像なんですよね。閉じていくことには良い面も悪い面もあって、その両方を視野に入れて、どちらかを見て見ぬふりをしないように、家族を形成していきたい、というようなことを思ってます。

 

― 確かに、考えてみると家族というのは、「ガラパゴス化」が起こりやすいんですかね。家族ごとに、独自のルールや価値観をいっぱい持っているという印象があります。

中込:「ガラパゴス化」が起こりやすい理由は、やはり家族だけで一緒に暮らす時間の長さが大きいなと思います。でも、どうしても無視できないのが血の繋がり。血の繋がりというのは家族を語る上でやはり、とても大きな要素かなと思います。

 

― ああ、血の繋がり。

中込:血の繋がりがあるから家族。血の繋がりは選べない。でも、血が繋がっているから、一緒にいるべき?その考え方に安住していいのか?ということは、誰でも思っているんじゃないかと思います。

 

― なるほど。

中込:さっき、いっちゃん(いつ鹿さん)がサザエさんの話をしていたけど、サザエさんは今の時代を全く反映していないのに、いつまでも放送されている。それは需要があるってことですよね。私もつい、サザエさんを観てしまう。それに加えて、サザエさんの家族に憧れがあって、サザエさんの家庭の一員として生活してみたと思ってしまうんだけど、実際にそんなことがあったらすごく束縛されて、自由には生活できない。自由に生活したいのに、サザエさんに憧れるって不思議な感じもするけれど、でもこの引き裂かれ方って、誰もが思っている事なのかなと。それに対して、一歩踏み出して新しい家族をつくり出そうとしている人は、あまりいないんじゃないかな。

 

― 答えがなさそうですね。

中込:そうね。そういう事を参加者と話をしながら創作の核を作っていく。私だけではわからない感覚を持ち寄って、話し合いが出来ると豊かだなって。

  

ざきりんさん:おもしろそう。

  

 

 

今日はここまで。

次回は最終回。ざきりんさんの話、どういう稽古場にしてきたいか、参加者に期待すること、の3つについてです。

お楽しみに!

 

2020年9月 2日 (水)

一緒に創ろう!個人参加の話① 「一緒に創ろう!個人参加」って、何?

八王子学生演劇祭制作・広報の荻山です。

  

 

 

先日は「課題戯曲に挑戦!団体参加」で、今年新たに設定した課題戯曲、5本を紹介いたしました。

今日からは全3回に分けて、「一緒に創ろう!個人参加」の話をしていきます。

   

 

 

八王子学生演劇祭2020 出演団体・個人の募集はこちら

上演日時:2020年12月19日(土)、20日(日)

会場:いちょうホール(小ホール) ※上演形式については変更する可能性があります。

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デザイン:こばやし帝国

 

 

 

 

 

 

今年はどういう作品づくりを目指すのか、演劇祭の総合ディレクターであり、「一緒に創ろう!個人参加」の演出を行う中込遊里さん(以下、中込)、演出助手の清水いつ鹿さん(以下、いつ鹿)、宮崎悠理さん(以下、ざきりん)にお話を伺いました!

 

 

<プロフィール>

中込 遊里(なかごめ ゆうり)

2_20200617102401

1985年日野市生まれ。都立八王子東高校出身。日本大学芸術学部在籍中、演出と演技を中心に学ぶ。卒業制作公演「夏の夜の夢」(作・シェイクスピア)では歴代最高の動員数を記録。大学在籍中に「鮭スペアレ」旗揚げ(2006年~)。シェイクスピアなどの古典作品を、生演奏の音楽劇として演出する。2014年・2015年「利賀演劇人コンクール」奨励賞受賞。2016年より立川市の文化創造施設「たちかわ創造舎」に劇団の拠点を構え、中高校生と演劇創作する「たちかわシェイクスピアプロジェクト」を開始。これまでのワークショップ参加者は150名を超える。その場に集う人々の力をどこまでも信じることから作品を編み出すことをモットーとする。

 

 

清水 いつ鹿(しみず いつか)

S__57221235

撮影:木村護

東京都中野区出身。小中高と9年間演劇部に所属。日本大学芸術学部演劇学科演技コース在籍中、「鮭スペアレ」に入団し、以来俳優として活動を続ける。同団体には第2回公演以来全作品に出演。劇団の看板として、安定した低音声で劇世界の根底を支える。2017年より「たちかわシェイクスピアプロジェクト」でのワークショップ講師も務める。

 

 

宮崎 悠理(みやざき ゆうり)

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大阪府東大阪市出身。桜美林大学卒業。高校は大阪市立の演劇学科を卒業。現在はフリーの俳優として舞台を中心に活動しており、コンテンポラリーダンス作品や映像作品にも出演している。また、演劇を用いたコミュニケーションワークショップのファシリテーターとしての活動に注力しており、小学生から高校生を対象にコミュニケーション能力向上を目的としたワークショップを都内外問わず実施している。

 

 

 

 

 

― まずは「一緒に創ろう!個人参加」とは、どういうものなのかについてお聞かせください。

中込:団体に所属していなくても演劇祭に参加できる仕掛けを作りたいと考えていました。去年、私が演劇祭の総合ディレクターに就任した時に、個人でも参加ができる枠を作ろうと提案しました。
 

― 一昨年までは、団体参加のみでした。

中込:そうそう。あと、若い世代は意外と他者と出会う機会が少ない、と、ずっと感じていました。知らない人同士が集まって、演劇創作を通してコミュニケーションを行う。それは本当に特別なことで、普段とは違う自分が出せたりする。

 

― この演劇祭のテーマであり、キャッチコピーでもある、「遠くまで行こう」という言葉にも繋がる考え方です。

中込:うんうん。遠くまで行くために「課題戯曲に挑戦!団体参加」では、優れた課題戯曲との出会いを用意しています。「一緒に創ろう!個人参加」では、演劇という共通の背景がある、同じ世代の仲間や、私たち大人、いつもとは違う自分と出会って欲しいです。

 

 

 

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八王子学生演劇祭2020キャッチコピー

 

 

 

― ここからは、いつ鹿さん、ざきりんさんにも加わって頂いて、去年のことを少し振り返ってみたいと思います。

ざきりん:私は、去年はまだ関わりがなくて。

 

― そうでした。

いつ鹿:私も去年はまだ役割があったわけではないのですが、稽古場にいる大人が演出の中込さん1人だったので、サポートとして参加していました。

 

ざきりん:どんなことをしていたんですか?

 

いつ鹿:うーん。本当に色々なことをやりましたね・・・。特に忙しかったのが本番の前日と当日。劇場に入って、中込さんは全体の演出に集中せざるを得ないので、それを補う細かい演技指導を私が担当しました。

 

ざきりん:じゃあ、悩んでいる人を見つけては、声をかける、みたいな。

 

いつ鹿:そうそう。例えば、初々しい2人の男女が、雨の中で告白をするシーンがあって、演じる2人がとても悩んでいて。その時は、かなり具体的に演技指導をしました。

 

ざきりん:なるほど。

 

いつ鹿:後は、ここは上手じゃなくて、下手から出た方がいいよ、とかそういう細かいことも。

 

ざきりん:出はけのアドバイスまで(笑)

 

いつ鹿:そうです(笑)

 

中込:本当に、助かったよ~。

 

 

 

_200824_10

適切な距離をとってお話をしました。 

 

 

 

― 去年は「Fwd:百歳まで生きたら」というタイトルで、百歳まで生きるということを参加者と一緒に考えました。

中込:生きるとは、死ぬとは、正解がないことを話し合う。話すだけではなく、そこから演劇創作する、それがとても大事だった。

 

いつ鹿:演劇創作に入るまでの時間がたっぷりあって、それが良かった。

 

中込:象徴的だったのが、バナナのシーンかな。

 

ざきりん:なんですか?それ。

 

いつ鹿:突然、中込さんが言い始めたんです。最後のシーンは、天井からバナナが釣り下がっていたら良いと思うんだけどって。

 

中込:そうそう。本番の3日前に、天井から吊るされたバナナを取る、というシーンを追加したんだけど、それはいったい何の意味があるんだろうというのを、私を含めてみんな発見できなくて(笑)。

 

いつ鹿:で、みんなわかんなくて、え?ってなって。黄色い靴を履いてた参加者に、靴を借りて、今、この靴がバナナです。って。

  

ざきりん:ええええ!

 

中込:天井からバナナが1本降りて来るから、言葉を使わずにバナナを取ってくれ、と参加者にお願いをしました。実際に動いてみて、うーん、ちょっと違うな、と。でも、もう一回やろうって。

  

ざきりん:ひぃぃぃ、恐ろしい(笑)!

 

いつ鹿:私が椅子に上って、その黄色い靴を椅子の上からぶら下げて。みんなでこの靴をバナナだと思って、取ろうって。みんな真面目だから、すごく一生懸命に黄色い靴を取ろうとする、これはなんだろうと思いながら。

  

― 棒の先に靴をひっかけて高さを出したり、色々と工夫していましたよね。

いつ鹿:なるべく高く、と思って。高さは重要だから(笑)。

 

ざきりん:しかしそのシーンの意味は、発案者の中込さんも含めて、誰も知らないという(笑)。

 

中込:結果それは、人類の起源を示唆するシーンになったんです。言葉を覚えて、みんなで喧嘩しながら、協力してバナナを取る。最後、みんなで「バナナ!」と叫ぶと、ご褒美に全員分のバナナが落ちて来る。あー、こういうシーンになったのか、良かったなって。みんな納得できた。

 

いつ鹿:報われて、本当によかった。(笑)

 

 

一同、笑う。

 

 

ざきりん:わからないけどやってみよう、から、ああこれだったんだ、というところに短時間でたどり着くのは大変なことだと思います。でも、最初にたくさん議論をしてたからこそ、たどり着けたのかな、と、聞いていて思いました。

  

中込:本当に、そうだね。たくさん議論した財産が、演劇創作に活きたなと。

  

ざきりん:それを話してなかったら・・・。

 

いつ鹿:誰もついて来なかったかも・・・。

 

ざきりん:わかった!という感覚を、みんなで共有できた経験は、とても良いなあ。

  

中込:私が発見したというより、本当にみんなで答えを、バナナのシーンの解釈を探し当てた。それが本当に良かったなって。

  

ー その後、最後の最後、参加者の1人が前に出てきて喋るシーンも良かったですよね。

中込:かなり上手に演じてくれて。そのセリフも、また別の参加者の1人から出てきたエピソードを基に書きました。

  

「朝目が覚めると、隣に寝ている人がいて、とてもゆったり寝ている人がいて、髪の毛が、とても細くて柔らかくて、私は、その髪の毛を撫でるんですね。

それから、ああ、朝ごはん作ろう、って思って、立ち上がって、もう一度、寝ている人を見て、なんだか、たまらなくなって、それで、拍手をするんです。

起こさないように、でも、とってもたくさん、拍手するんです。」

  

中込:赤ちゃんとして生まれて、歳を重ねていって、でも最後には赤ちゃんに戻る、人は結局愛情で繋がっている。そういう作品にしたかったので、そうなって良かったな、と思いました。

  

― 本当に、良かったです。

中込:たくさん議論して、いっぱい考えて、それによって作品に奥行きが生まれたと思う。なので、今年の作品も、そうなるのかなと思わずにはいられない。(笑)

 

いつ鹿:思わずにはいられない。(笑)

 

中込:そう。(笑)

 

 

 

 

今日はここまで。

次回は、日本の家族のシンボルであるサザエさんと、中込さんがこだわりにこだわった今年の個人参加作品のタイトル『ガラパゴス家族』について話します!

 

 

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